「大幅に日経平均株価が回復する」との期待は後退中…野村證券(8604)、2008年11月計測分の個人投資家動向を発表

2008年12月06日 12:00

株式イメージ【野村證券(8604)】の金融経済研究所は12月5日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2008年11月計測分、PDF】)。株価低迷を続ける中で、特に大きな期待材料があるわけではないが、「底値判断」をした個人投資家が多いらしく、「ノムラ個人市場観指数」が過去一年の間では2番目の高水準となった。「目先では株価は回復に転じる」という見方が大きくなっているようだ。

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今調査は1000件を対象に11月21日から25日に行われたもので、男女比は72.6対27.4。年齢層は40歳代がもっとも多く30.2%、ついで30歳代が25.0%・50歳代も23.4%など。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く25.6%、500万円~1000万円が21.6%、200万円~500万円が19.1%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く32.6%を占めている。次いで5年以上が22.2%、1年から2年未満が18.2%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く50.1%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が26.1%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めているのはこれまでと変わりなし。

詳細はレポートを直にみてほしいが、概要的には

・投資指数は前月比ではマイナスだが、過去12か月の間では2番目の高水準。ただし大幅に日経平均株価が回復する、との期待は後退中。
・株式取引への意欲増加の傾向。積極性増す。
・「市場への影響が考えられる要因」ではマイナス回答が多いが、前回と比較して悲観的な見方が後退する。特に海外動向についてポジティブな方向への動きが見える。
・魅力的な業種は「医療、へルスケア」。「建設、不動産」を超える形で「自動車、自動車部品」がもっとも注目度の低い業種に。2006年4月の調査開始以来初めての出来事。
・株主への利益還元について、具体的な目標値の公表を望む人は77.4%に達する。また、配当維持を配当政策の望ましいスタイルと望んでいる。


という形に。11月は10月ほどの乱高下の中での下落は見せなかったものの、不安定な状況の中で軟調な状態が続き、年末に向けての不安感を増徴させる状況のまま一か月が過ぎてしまった。しかし個人投資家はこの状況を「もみ合い」「上昇に向けたエネルギー充てんの時」と判断したようで、海外要因への懸念を減らすなど、直近の市場回復への期待感を積み増している。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」だが、上位5銘柄の多くは変わりがない。世界各国、特にアメリカの景気後退で需要減少による収益悪化が報じられている<[トヨタ自動車(7203)]だが、それでも今月も相変わらずトップについている。「自動車産業は軟調に推移するかもしれないが、トヨタは別格」という想いが投資家の間には強いようだ。

1位……[トヨタ自動車(7203)]
2位……【東京電力(9501)】
3位……[任天堂(7974)]
4位……[武田薬品工業(4502)]
5位……【三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)】


上位を占める銘柄はそれだけ注目を集めていることに他ならない。つまりそれだけ今後も活発に売買が行われる可能性が高い。トップの[トヨタ自動車(7203)]はもはや鉄板順位で間違いないはない、というより当サイトで今レポートの追跡を始めてからこの順位から動いたことが無い。自動車販売の減速や為替レートの変動の激しさなど市場環境の大きな変化がおきているものの、同銘柄の力強さ・人気の高さに変わりはないようだ。ただし次回の12月分では、11月時点以上に同産業への懸念が強まる状況を見せているだけに、あるいは……という可能性もある。

先が見えぬほど混迷を続けている金融危機(金融工学危機)は、間接的にではあるが(金融危機の進展→貸し渋り・需要減少→ますますの業務悪化)アメリカのビッグ3の経営をも風前の灯状態においやることになった。元々「いつかは」という考え方もあるが、現時点でその「いつか」が目前に迫っていることに違いは無い。何らかの形で救済されるにしても、破たんするにしても、ここ数か月の間で「アメリカの新大統領就任」と並び、市場に大きな影響を与える出来事になるのは間違いない。

その「とき」が来た際、市場動向はどのように推移するのか、そして投資家のマインドはいかに変化するのか。注目しなければならないだろう。

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