2008年11月の新設住宅戸数、前年同月比0.0%

2008年12月26日 06:30

住宅イメージ国土交通省は12月25日、2008年11月における新設住宅戸数のデータを発表した。それによると11月の新設住宅着工戸数は前年の同月比で0.0%増の8万4277戸となり、5か月連続の増加を示した(発表文言上)ことが明らかになった。着工床面積は5か月ぶりに減少を示していることとあわせ、改正建築基準法施行直後の崩落後の差分考慮時期が終わり、停滞時期に突入したのではないかという懸念が生じている(【発表リリース、PDF】)。

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具体的な内訳は持家が11.7%の「減少」、貸家は1.7%、分譲住宅は11.0%の「増加」。公的資金による「貸し家」とマンション項目の「分譲住宅」が大きく増加したため、かろうじて2項目で前年同月比プラスの値を見せることが出来た。しかし先月ほどの勢いは見受けられない。

改正建築基準法の施行、そしてそれに伴う行政側の準備不足・不手際(特に「大臣認定プログラム」や審査担当者絶対数の不足)が2007年夏以降の住宅市場における混乱と、新設住宅戸数の減少をもたらしたのはすでにご承知の通り。そして最悪のタイミングで資源高・賃金高などによる建設業界全体の急速な市場環境の悪化が進行。さらには資源高が落ち着いたあとの世間全般の不況による顧客ニーズの急速減と、金融機関から血流たる「資金貸与」の途絶(に等しいほどの査定厳格化)など、業界が受けている逆風は強まるばかり。秋口のラッシュを境に「多少」落ち着きを見せつつあるが、上場企業でも建設・不動産セクターの破たんが次々に伝えられ、尋常ならざる状況であることをうかがわせる(すでに上場企業の破たんは過去最高数を記録し、その多くが建設・不動産業である)。

昨月取り上げた10月分をはじめここ数か月は、前年同月比で比較される昨年同月において改正建築基準法の施行からまだ日が浅く、大幅に数字が下振れしていたこともあり、その反動から「前年同月比」の値が大きく上に振れていた。しかし今月に至り新設住宅着工戸数がほぼ変わらない状況を見ると、その「反動的見た目の特需」も過ぎ、厳しい冬を再び迎えそうな感が強い。

新設住宅戸数の変遷
新設住宅戸数の変遷(2008年11月分まで)

昨年8月~10月の大低迷から上昇傾向を継続していた前年同月比割合は今年に入ってから前年同月比マイナス5%前後を行き来し、夏にかけて急上昇。もっともこれは改正建築基準法の施行により大きく不動産・建設業が下向きを見せた、2007年夏期以降の数字と比較したものであり、あくまでも「比較論」としてのプラスだった。そして10月に入ると再び下落基調を見せ、今回発表の11月分ではとうとう事実上プラスマイナスゼロとなってしまう。

着工床面積概要に至っては前年同月比7.0%減と減少が確定しており、これは5か月ぶりのマイナス転換となる。先月の「気になるところ」が現実のものとなったわけだ。公共の建築主は74.9%の増を見せているが、規模的にその17倍以上にも及ぶ民間の建築主が9.4%の減なのだから仕方ないといえよう。

耐震強度偽装問題を教訓にした
「改正建築基準法」の施行

・行政の不手際などで
新築戸数などが激減
・昨年夏で底打ちに見える。
・3月再び下落・失速感。

最悪期の「去年」比で幾分堅調に

景気・業界低迷には勝てず、
再び下落傾向を見せる。
一昨年比も弱い。

国土交通省では同日、住宅着工に一か月ほど先行するといわれている建築確認件数も発表している(【「最近の建築確認件数等の状況について」発表リリース】)。これによると今回発表された11月分データでは19.3%マイナスとなり、10月分データの4.2%マイナスからさらに悪化している。来月分の住宅着工は今月以上に不安定な数字展開が用意に想定され、年初からあまり嬉しくないレポートをお送りしなければならないようだ。特に今回はすべての建築物においてマイナスの値を見せており、相当な下落が予想される。

今回の11月分データは、一時期小回復を見せたかに見えた建設・不動産業の状況が、再び軟調化を数字の上からも確認できる前兆が現れている。10月・11月は上場関連企業が相次いで破たんしたこともあり、この影響を「たまたま」受けていたのかもしれない。しかしそうでないとしたら、今しばらくは軟調な状況、さらには再び今年の夏期以前の状況にまで巻き戻される可能性も否定できない。各部門とも慎重な対応が求められよう。

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