アレルギー性ぜんそくの悪玉細胞を発見・根治研究が大きく前進へ

2008年11月20日 08:00

ぜんそくイメージ理化学研究所は11月17日、アレルギー性ぜんそくなどの気道過敏を引き起こす悪玉細胞を特定したと発表した。マウスの実験によるものだが、人間にも同じメカニズムがあると考えられるため、今後病状を抑えるなど気道過敏症の悪化を抑制し、アレルギー性ぜんそくの克服が実現できるうとして期待を集めている(【発表リリース】)。

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リリースによればアレルギー性ぜんそくは、世界保健機関の統計でも、世界で3億人、日本で約300万人の患者数が報告されている。現時点では対処療法が主な治療法で、根治する治療法は確立していない。ダニ・ハウスダスト・花粉などのアレルゲンや風邪のウイルス、ストレス、タバコの煙、香水の強い香りといった外界からの刺激が引き金となり、発症することまでは分かっているが、その「引き金」で反応するのがどの細胞で、どのような仕組みで起きるのかまでは判明していなかった。

研究チームでは実験用マウスを使って実験を繰り返し、最終的にIL-17RBというたんぱく質を持つナチュラルキラーT細胞が気道過敏症を引き起こす「悪玉細胞」であることを確認。このIL-17RBの働きをストップさせる抗IL-17RB抗体を投与することで、アレルギー性気道炎症の発症が抑制できることを確認した。

要は「アレルギー性ぜんそくを引き起こす物質はこれまで判明していたが、それらがなぜぜんそくのきっかけになったか、その仕組みは分からなかった。今回その仕組み、そしてぜんそくを引き起こす物質・細胞が判明し、それらがぜんそくを引き起こす反応を止める抗体も見つかった」ということ。マウス実験によるものなので、これからさらに検証を重ねていくことになるが、将来人間にも同様の反応が得られる薬品などが開発され、細胞の反応レベルでアレルギー性ぜんそくを抑えられるようになる可能性は高い。

アレルゲンにさらされた細胞はIL-25を産生する。これに反応してIL-17RB陽性ナチュラルキラーT細胞がIL-13、IL-4といったTh2サイトカインやTARC、MDCといったTh2サイトカイン、ECF-Lなどを産生する。これが引き金となって、Th2細胞の誘導・活性化や好酸球浸潤が起こり、結果としてアレルギー性ぜんそくに至る。
アレルゲンにさらされた細胞はIL-25を産生する。これに反応してIL-17RB陽性ナチュラルキラーT細胞がIL-13、IL-4といったTh2サイトカインやTARC、MDCといったTh2サイトカイン、ECF-Lなどを産生する。これが引き金となって、Th2細胞の誘導・活性化や好酸球浸潤が起こり、結果としてアレルギー性ぜんそくに至る。

研究グループでは今回発見した「悪玉細胞」の働きを抗体治療などで人為的に抑制することにより、気道過敏症の増加・悪化を抑えることができ、社会的要請の高いアレルギー性ぜんそくの克服に貢献できるのではないかとしている。

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