モスバーガーの「迷走」とテレビコマーシャルの打ち切り検討と

2008年11月11日 08:00

モスバーガーイメージハンバーガーチェーン店「モスバーガー」などを展開する【モスフードサービス(8153)】は11月10日、2008年3月期第2四半期(中間)決算短信を発表した(【発表リリース、PDF】)。それによると原材料価格や人件費、運賃コストの高騰などで経費がかさみ、さらに各種減損処理を行ったために四半期純利益は1億7900万円の赤字となった。通期の業績予想は6億円の赤字でこれまでと変わりはないが、状況の厳しさがうかがえる。また、この短信の発表時に行われた記者会見で桜田厚社長が販売戦略の転換を打ち出した・検討していることを表明したが、この言及を見ると同社の戦略にぶれが生じていることがうかがえる。

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第2四半期(中間)決算短信では経営成績について

・原材料費や人件費などの高騰で経費が増加している
・ミスタードーナツとの共同事業を開始、各種新製品の展開、携帯サイトの大幅リニューアルや店舗指導の強化など販促部門の注力を行ったが、前年同期が割り引きクーポンなどの集中投入をしていたこともあり、売上高は前年比94.6%にとどまった。それでもモスバーガー事業は273.08億円の売上、7.37億円の利益。
・その他飲食事業では不採算店舗の閉鎖など体質改善を進めているが、2.22億円の損失。
・固定資産の売却損、減損損失など、直接事業の売上以外の損失が大きい。


などと説明している。

今後の事業展開について直接短信では触れていないものの、

・来年春までに200円程度の「低価格を売りにした新商品」を投入する方針
・テレビコマーシャルの全廃を検討。今後は店舗独自の販売促進活動や、新聞・雑誌広告の強化、さらには携帯電話のメールを通じた情報発信に注力する。


などが伝えられている。【若者からは絶大な支持率! 最近もっとも使ったファストフードは「マクドナルド」】などにもあるようにマクドナルドは「低価格商品の展開」と共に「携帯電話による情報発信とクーポンの提供」で大きく業務成績を伸ばすことに成功している。同じハンバーガー系ファストフードでも本来立ち位置が微妙に異なる(価格は高めでも高品質の商品展開)モスバーガーではあったが、マクドナルドの成功事例と自らの現状をかえりみての方針転換の検討に入ったものと思われる。

・10月31日
値上げ発表
・11月10日
低価格帯新商品発表

しかしモスフードではわずか一週間前に【モスバーガー 価格値上げと パティ減量】にもあるように、「価格値上げとステルス値上げ」を発表したばかり。この値上げは「商品やサービスの品質維持のため」と説明しており、場合によっては「低価格を売りにした新商品」とは相容れない内容と受け止められてしまう。

モスバーガーのこのような「迷走」は、2001年から2002年にマクドナルドがおちいった経営戦略上の迷走(安売りでブランドイメージが損なわれたのをきっかけに、値上げと値下げが相次いで行われ、しっかりとした経営方針が見えない状態が続いた。この失策が元で藤田体制は終えんを迎えることになる)と似た雰囲気を持っている。

[ダスキン(4665)]との本格的な提携などもあわせ、果たしてモスフード・モスバーガーが一本筋の通った業務体質の改善を行い、経営を立て直し、今のマクドナルドのような堅調さを生み出す体制を作ることができるのか否か。一部意見では「味の面で質が落ちている」という酷評の克服もあわせ、今後のモスフードの動向に注目が集まるところだ。

「テレビコマーシャルの打ち切り検討」公言の意味

やや余談。モスフードの広告展開の中で「テレビコマーシャルの全廃の検討」という表記があるが、元記事にはこの理由について「不特定多数が対象のテレビCMは多額の費用が掛かる割に効果が少ないと判断した」という表現がある。要は「テレビコマーシャルって金ばかりかかって、ケータイや新聞・雑誌と比べて効果が薄いから止めるね」と上場企業トップが判断したということ。

「不特定多数が対象のテレビCMは
多額の費用が掛かる割に
効果が少ないと判断した」

メディアの多角化やテレビへの関心度の低下などから、テレビコマーシャルの宣伝効果の低下は前々から言われていた話。しかしそれが上場企業のトップから公式の場で語られ、それがメディア上に露出されるのは「これまでは」あまり例を見ない。つまりはそこまで「あきらかに効果が落ちている」と企業側が認識せざるを得ない領域に達しているのかもしれない。

今週末までに在京キー局五局の中間決算発表が出揃うので、週末にでもそれらの短信を元にテレビ業界動向を中間短信から読み取る予定。主要収入源であるテレビコマーシャルにおいては、(業態によって特性が異なるため一概にはいえないが)今回のモスフードの「多額の費用が掛かる割に効果が少ない」発言のように、効果のあるなしについて各企業が再チェックを進め、広告を降りる傾向の加速化が見えてくるかもしれない。

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