金融危機で生み出された流れは「投資から貯蓄へ」

2008年11月11日 08:00

株式イメージgooリサーチは11月10日、読売新聞社との共同企画調査による「資産運用に関するアンケート調査結果」を発表した。それによると昨年から続く金融市場の混乱に伴い、約2割の人が運用商品を変更・あるいは変更を予定しており、その多くが「円の預貯金」へと差し替えていることが明らかになった。市場の混乱は「投資から貯蓄へ」の流れを生み出しているようだ(【発表ページ】)。

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今調査は10月下旬(つまり「ブラッディー・オクトーバー」がほぼ終了した時期)にインターネット経由で行われ、20歳以上の男女1074人が回答している。男女比・年齢階層比は非公開。

昨今の金融市場の混乱や株価の下落に伴い、資産運用の商品を変更したか否かについて尋ねたところ、22%の人が変更したと答えている。逆にいえば78%の人がそのまま継続していることになる。その「変更した22%」の人に対し、何へ変更したかを複数回答で尋ねたところ、「円の預貯金」と答えた人がもっとも多く42%を占めていた。

投資商品を何に変更したか・変更する予定か
投資商品を何に変更したか・変更する予定か

回答母数がやや少なめなのでぶれが生じているリスクもあるが、よりリスクの少ない「円の預貯金」に投資資金が逃げていることが分かる。リスクという点では日本国内の国債も似たようなものだが(日本の国債がデフォルトするような場面では、同じ国内の預貯金においてもどんな状況であるのかは容易に想像がつく)、流動性や知名度、手軽さなどの点から移行率は少ない。

また【10月の「ブラッディ・オクトーバー」を個人投資家らはどのように過ごしたか】でも指摘されているように、株安を「投資のチャンス」とばかりに受け止め、株式投資などに傾注している人が意外に多いことが分かる。「変更」だから、円の預貯金などから株式の購入に転じたのだろう。

国側の考えとしては「貯蓄から投資へ」の意向があるようだが、証券税制の(国際的観点から見た)冷遇をはじめ、むしろ投資を忌み嫌う傾向が見受けられる。世論も(マスコミのあおりもあり)概して投資と投機を同一視するような風潮が強い。その上市場の混乱と株価の低迷がおきたとなれば、リスクの少ない「円の預貯金」に皆が注目してしまうのは当然の結果といえる。

投資はあくまでも自己責任であり、どの投資商品を選ぶのかも個人個人の自由となる。預貯金にしようが株式投資にしようが、それは個々が最終的に判断した結果によるもの。とはいえ、ネット証券の普及でここまで窓口が広がりハードルが低くなった株式投資や投資信託などから、投資家たちが逃げている傾向が見られるのは、悲しみを禁じえないものがある。

市場の上下は別にしても、市場がもう少し安定度を見せるようになるまでは、このような傾向は継続するのだろう。


(最終更新:2013/08/02)

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