金融危機がもたらした「飛行機の墓場」

2008年11月09日 12:00

ジェット旅客機イメージ「100年に一度」とすら表現されている昨今の金融危機(「金融工学危機」)はさまざまな方面で需要の縮小を招いている。ローン会社や銀行はローン設定を厳しくし、貸しはがしは各所で行われ、消費者は消費を抑えるようになる。当然、娯楽に費やされるお金は激減し、欧米であっても旅客機が使われる機会は少なくなる。ただでさえ燃料費が不安定な状態であるのに、航空会社にとってはこの上お客まで減ってしまったのではたまったものではない。経営体質を守りモードに突入させ、嵐が過ぎ去るのを待つしかない。拡張路線などもってのほか。このような状況だから、旅客機においても新規機体の発注キャンセルやリースの注文待ちで待機しているジェット機の増加傾向が見られるという。そのような航空業界の現状を如実に表している写真が【Mail Online】に掲載されていた。原タイトルにいわく「金融危機が原因で予算削減に追い込まれた航空会社による、使われなくなった飛行機たちの墓場」。まるで子どもが捨て散らかしたおもちゃのようだ、という表現も使われているが、言い得て妙な気もする。

スポンサードリンク

新品、あるいはそれ同様のジェット旅客機がずらりと並ぶ状況
新品、あるいはそれ同様のジェット旅客機がずらりと並ぶ状況

XL航空の機体イメージ写真に映っている旅客機は全部で26機。未使用のものもあれば新品同様のものもある。9月に経営が立ち行かなくなり閉鎖されてしまったXL航空のイギリス部門の旅客機にはいまだに「XL」の名前が描かれており、物悲しさを演出。これらの機体は誰かに買い取られるか、あるいはスクラップにされるまでこの場でその姿をさらし続けることになる。もったいなくもあるが、仕方がない。


大きな地図で見る
実際にGoogleMapで該当する場所を表示。撮影時間が異なるので同じ情景ではないが、似たような機体を複数見つけることができる。

ここは半世紀以上もの歴史を持つ航空機のメンテナンス企業【ATC Lasham】の整備飛行工場。他にもかつてはスコットランド方面ではメジャーだったFutura International Airways社(9月に破たん)の機体も見える。

残りの機体のうち11機もまた、「金融危機」の被害者(被害飛行機?)ともいえる。なぜならそれらの機体はリース会社の所有で、現在新しい貸し先を探している最中だというのだ。しかし航空会社はどこもかしこも不景気で、さらに借りてもお客を埋めることはできず、新たな機体をリースで借りる余裕すらないのこと。結局駅前のタクシー広場でお客を待つタクシーの行列が出来るがごとく、注文待ちのリース会社の機体がずらりと並ぶことになる。

元記事にある、機体の説明一覧……なのだが、拡大しても文字が潰れているため判別は難しい
元記事にある、機体の説明一覧……なのだが、拡大しても文字が潰れているため判別は難しい

元記事にはほとんどの機体の解説があるが、拡大しても文字がつぶれているものが多く、解読は難しい。ただ、上記のXL航空の機体がボーイング737-900で1機あたり5600万ポンド(86億円)、そのすぐそばにある緑色の期待はS7 Airlinesというロシア最大の国際航空会社のボーイング737型機で1機35万ポンド(54億円)など、有名どころの会社の所有だった機体が並ぶ。中には会社のマークすら見えない737型機もちらほらと見受けられる。すでに買い取り先が現れてカラーリングをしなおしている最中なのか、それとも建造途中で発注元がキャンセル、あるいは破たんして引き受け先がなくなった機体なのかは分からない。


ジェット旅客機の黄昏イメージ冒頭の説明以外に【新規航空機、発注キャンセル インド航空各社 信用収縮影響(FUji Sankei Business i)】でも伝えられているように、需要の縮小に伴い世界中の航空会社で機体のキャンセルやミニサイズ化が続いている。さらに仮に大型機の購入を検討しても、金融危機によって金融信用が極端に縮小しているため、大型機を買い受けるような巨額の資金調達が事実上困難なのも、ジャンボジェット機へのニーズ縮小の一因(現金で一括払いが出来れば話は別だが、それが可能な財務状態の航空会社は皆無)。

【ANAが三菱重工の国産ジェット機MRJの25機購入正式決定】でも触れているが、景気が本格的に回復するまでは、中型機で燃費が極めてよい機体に人気が集まり、燃料を浪費する大型機は敬遠される傾向にある。今後ATCの待機所に置かれる機体の数は増えるだろうし、ATC以外にも世界各地で似たような情景を見つけることになるに違いない。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ