オタク市場の規模と成長率をグラフ化してみる

2008年11月11日 08:00

オタクイメージ矢野経済研究所は11月10日、「オタク市場」に関わるビジネス市場の調査を実施し、その結果をまとめた資料を10月31日から発売していることを発表すると共に、その概要を明らかにした。それによると2007年度における「オタク市場」規模は約3600億円に達し、特に電子コミックや同人誌、フィギュアなどの分野で成長がいちじるしいことが判明した(【発表リリース、PDF】)。

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同調査は7月から10日、関係者に対する直接面談や電話・FAXなどによるヒアリングによって行われたもの。具体的な調査数などは今リリースでは明らかにされていない。また今資料における「オタク市場」とは「一定数のコアユーザーを有するとみられ、「オタクの聖地」である秋葉原などで扱われることが比較的多いコンテンツ及びその関連コンテンツ」(以上原文ママ)と定義されている。

2007年度における項目別オタク市場の市場規模(国内出荷ベース、メイド・コスプレ関連は売上ベース、アイドル市場のみユーザー消費金額ベース)は次の通り。

2007年度における項目別オタク市場の市場規模
2007年度における項目別オタク市場の市場規模

例えば「AV(アダルトビデオ・DVD)」は「オタク市場」というよりは大人全般の市場ではないかという感もあるのだが、とりあえず調査結果にあるようにオタク市場に内包されると考えると、項目別では615億円ともっとも大きな規模を誇っている。ついで「同人誌」の553億円、「アイドル」の505億円、「コスプレ衣装」の360億円の順。「コスプレ衣装」の定義は「アニメ・漫画・ゲーム・映画・ドラマ等のキャラクターの衣装や、特定の職業もしくは学生の制服を模した既製服。仮装用の衣装も含める」とあり、たとえ仮装用の衣装を含めるにしても、300億円超えの規模を持っていたとは驚きだ。

なおこれらの項目すべてを合計した「オタク市場」の総計市場は3597億円。少なくとも「3600億円市場」という計算になる。「オタク」という定義によって市場規模も変わってくるのだろうが、かなり大きな規模といえよう。

これらの項目について前年との成長比率で見比べてみたのが次のグラフ。

2007年度における項目別オタク市場の前年度比成長率
2007年度における項目別オタク市場の前年度比成長率

「電子コミック市場」の成長率が群を抜いていることが分かる。言葉上の定義は「パソコン、携帯電話、PDA等を用いて読むコミック」であり、こちらも一概に「オタク」ばかりではないので、実際には携帯電話そのもののコンテンツ市場成長率に合わせたものの雰囲気だが、それにしてもケタ違いの伸び率。

それを別にしても、「同人誌」13.5%、「フィギュア」8.3%、「コスプレ衣装」6.8%、「鉄道模型」5.6%など、いずれも高い成長率を見せているのが分かる。元々市場規模がそれほど大きくなかったという点もあるが、ここまでの成長率を見せるのは大したもの。それぞれの高成長率市場では、

「電子コミック市場」……携帯電話機能の拡充や携帯電話そのものの市場拡大
「同人誌」……ライトユーザーの参入による市場規模の拡大
「フィギュア」……一般への浸透や大手事業者の注力、参入事業者の増加
「コスプレ衣装」……一般に認知される趣味へ。イベントの増加
「鉄道模型」……団塊世代愛好者の増加。鉄道ブーム


などの増加要因が挙げられている。

一方、今後の展開については、「オタク市場」がメジャー化するにつれて市場が飽和傾向にあること、多くの企業が参入して「市場」として確立される過程における法令順守の問題、マンネリズムの打破、新規ユーザーの開拓など、超えるべきハードルが数多く存在することも指摘している。

なお同資料では触れられていないが、今調査は「2007年度」の市場規模を対象にしたもの。本格的な景気後退の傾向が見られる2008年度においては、「オタク市場」の内に潜む問題以上に、景気全体の冷え込みがどこまで影響するのか。景気悪化に伴い出費の削減が必要な場合、娯楽費がターゲットになる場合が多いだけに、気になるところといえる。

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