「借金してでも浪費」から「生活防衛」へ~リセッション入りするアメリカで変わる消費者行動

2008年10月31日 06:30

節約イメージ実質的に経済が「リセッション」入りしているアメリカにおいて、消費をおさえて生活防衛の体制に入っているという話は【「エビアンを止めて水道水に」「本は買わずに図書館で」~米消費者に浸透する「トレードダウン」や「節約心」】【この頃アメリカで流行っている「トレードダウン」という考え方】などでお伝えしている通り。10月30日にNHKの朝のニュースでもアメリカの消費者の消費行動の実態が、短い時間ながらも非常に分かりやすい形でレポートされていた。恐らくは後ほど時間をかけて放送する内容のダイジェスト版だったようで、ウェブ上には詳しい話は掲載されていない。記憶を頼りに、情報を加味した上でまとめることにしよう。

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不景気で買われるもの、缶スープとその会社の株

リスクを恐れずローンをしまくりがむしゃらに経済発展を続けてきたアメリカだが、その経済発展が実は砂上の楼閣だったことに過ぎないことが最近明らかになりつつある。そのような状況下において、アメリカ国民の消費や貯蓄の面で新たな動きが見られるという。具体的には「攻めから守り」への転換。

株価が全体的に急落する中、堅調な株価を維持しているのが缶スープや野菜ジュースを製造販売するキャンベル・スープ(Campbell's Soup)。日本でも例えば『アマゾンで検索すると(キャンベルズ)』いくつかの商品を見つけることができる。ディスカウントストアなどで山積みになっている缶を見たことがあるはずだ。

具体的に【ヤフーファイナンス(米)でチャート】を見ると、確かにその通り。

キャンベル・スープ(Campbell's Soup)の2年チャート。サブプラショック後も(去年の2月に多少値を落としたが)堅調に推移している。アメリカ市場全体の動向と比べたら大健闘。
キャンベル・スープ(Campbell's Soup)の2年チャート。サブプラショック後も(去年の2月に多少値を落としたが)堅調に推移している。アメリカ市場全体の動向と比べたら大健闘。

「元々値が安かったのでは」という意見もあるだろうが、5年チャートで見れば同社の株価が少しずつではあるが右肩上がりであることはすぐに把握できるはず。要は「このような不況の中でも業績堅調だろう」と市場で判断されているわけだ。実際同社の売上は前年比で10%ほど伸びているという。

この堅調さは、少しでも生活費を切り詰めたい消費者が、外食に比べて割安な缶詰やレトルト食品を大量に買い込んでいるゆえのもの。実際放送でも「できるだけ消費を切り詰める」「買い物をするときには値段を必ず確認する」という消費者たちの声が目に留まった。

このような傾向についてインタビューに答えていたS&Pのデビッド・ウィーズ氏はいわく

「景気に左右されにくい生活必需品関連の銘柄に投資家が資金を移している。そのような銘柄の中には買い注文が伸びているものもある」


とコメントしていた。

手堅い、そして当たり前の経営が再評価を受ける時代に

Burke and herbert銀行イメージリスクを避けようというアメリカ人の生活様式の変化は、地方銀行にも大きな変化をもたらしているという。紹介されたのはバージニア州に本店のある地方銀行、【Burke and herbert銀行】。156年の歴史を持つ、老舗中の老舗。この銀行、一連の金融危機をきっかけに預金が大幅に増えている。

サブプラ問題以降、アメリカ人も所得の一部を貯蓄する傾向が見えている。Burke and herbert銀行では住宅ローンや中小企業への融資など、昔ながらの「銀行本来の業務」に終始してきたため、その手堅い経営が評価され、預金をする人が増えているのだという。

利用していた有力銀行が買収されるのを受けて、口座をここの銀行に移して新規開設した女性の話も語られていた。いわく「この銀行はサブプライムローン関連の金融商品には手を出さず、安全な資産運用を行っているという評判を聞いたから。ここは規模が小さいので感じがよく、安心してお金を預けられると思った」。実際この一か月だけで新規預金は6600万ドル、預金量全体の5%にも達しているとのこと。周囲の流れにまどわされず、地道に本業をこなしてきたことが、ようやく評価されはじめた次第というわけだ。


これまで借金をしてまで消費に励み、リスクをいとわず投資を行ってきたアメリカの消費者だが、金融危機から景気後退へと突き進む中で、投資にも消費にも一転して慎重な姿勢が見えてくるようだ。

果たしてこれが一過性のものなのか、それともリセッション状態が終わっても続くのかどうかはまだ分からない。しかし「100年に一度あるかないか」とFRBの元重鎮に言わしめるほどの金融危機である以上、何らかの「新たなDNA」をアメリカ人の中に刻みむことは間違いあるまい。

日本もまた、特に株価や銀行などにおいて、似たような傾向を見せる可能性は十分にある。色々と銘柄選択をする時の参考になるかもしれない。


(最終更新:2013/09/05)

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