不況下で変わる家具の好み・「大」より「小」、より省エネスペースへ

2008年10月27日 12:00

アメリカの家具イメージリセッション宣言間近とも言われているアメリカ経済の動向は、家具事情にも大きな影響を与えているようだ。【USA TODAY】が伝えるところによると、かつて貧乏くさい、「大きい事は富の象徴だ」として忌み嫌われていた小さな家具も、今や「省スペースの住宅には小さな家具」のニーズの波に乗り、引っ張りだこだという。

スポンサードリンク

同記事では先日開催された家具製造業界の見本市の様子が語られている。いわく、ドレッサーやテーブル、就寝用ランプなど多彩な家具において、「サイズの縮小(downsizing)」の傾向が見られている。家具メーカーの担当者の話によれば、「現在売れている住宅のサイズに合わせて家具のサイズも調整した(It's scaled down to the kind of residences that are selling today)」とのこと。

省スペースのデスクイメージまた、例えば机の上に細々とした引き出しが用意されていたり、横の引き出しを開放することで資料などを置く場所が出来る、日本の学習机やパソコン用デスクによく見られるような家具に人気が集まっている。その分、設置場所をとらなくて済むからだ。いわゆる「省エネペースの工夫」を持つ、空間を節約する色々な家具が増えている。

ある家具業者はいう。「かつて自分たちの会社では大きなサイズの家具が売上の7割を占めていた。今や7割が小さなサイズの家具で占められている」「この動向は家具業界全体に渡って起きているものだ」。また、ある住宅供給会社のブランドでは2割の住宅が住居スペースを小さくしているとし、このデータを元に「これこそが小さな家具が求められている証拠であり、今後成長する分野に他ならない」と断じている。

その他にも、アメリカの住宅事情とそれに乗じた家具業界のビジネス動向が色々と語られている。いわく

・経済的な事情から人々は(戸建住宅ではなく)賃貸の共同住宅やアパートを選択する人が増えている
・アパートなどは一戸建てと比べると住居面積が小さい。そこで、小さい家具の需要が急増している
・一戸建てを買える人でも、経済的理由からそのサイズを小さくする傾向がある。例えばKBホームという住宅会社では、不動産不況が吹き荒れる南カリフォルニア地域において、かつて3400スクウェアフィート(95.5坪)もの面積を持つ住宅を設計していた。しかしそれを2400スクウェアフィート(67.5坪)のものにデザインを変更した(もちろんその分安くなる)。そして最近では1230スクウェアフィート(34.5坪)の新築住宅を公開している。
・このような「小さな家具を求める」傾向も、人々が無駄使いを抑え、必要なもののみを手元に置く流れに他ならない


とのこと。そしてこのような状況において、人々の「ぜいたく志向」にも変化が現れている、とマーケティング会社Unity Marketing社の Pam Danziger社長は指摘している。いわく「大きさが富の象徴ではなく、住宅内に何を持っているのか(もちろんサイズに関係なく)が重要なのだ」と。そしてこれはヨーロッパ的な流れなのだという。

アパートイメージ日本では元々国土的な事情もあり、「うさぎ小屋」の言葉に代表されるように、小さな住宅での生活を余儀なくされてきた。限られた面積内にいかに色々な機能や家具を納めるかにおいて、日本人はある意味卓越した技術と経験を持つと表現しても良いだろう。

また、先進諸国、特にアメリカの住宅事情において、戸建を追いやられた人たちが賃貸住宅にその住居を移しつつあるという話は前々から伝えられている。当然居住空間が狭くなれば、家具のニーズも変わってくる。

体格やライフスタイルの違いはあるだろうが、あるいは今こそ、日本の家具が世界に進出するチャンスなのかもしれない。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ