最後にモノを言うのは金ならぬ金!?

2008年10月24日 12:00

インゴットイメージ金融工学の暴走により発生・現在進行中の金融危機。アイスランドが事実上のデフォルト(債務不履行)におちいった件に代表されるように、裏づけの無いレバレッジ(てこ。少ない元手で大きな資金運用を行う方法)をかけた取引に対する疑念・不信が市場にまん延している。要は「あなたの提示した額は本当に、物理的な価値のあるものに裏づけされたものなのか」ということを皆が皆、思って疑心暗鬼におちいっているわけだ。ヨーロッパでは金融危機による破たん危険度がかなり高いとされているイギリスにおいてもその不信は高まっているようで、先日【Mail Online】を通じてイギリスの中央銀行(the Bank of England)が保有する「純金の延べ棒の山」が公開された。いわく、「これだけの『価値あるもの』を裏づけとして保有しているから、イギリス(中央銀行)が金融危機(credit crunch)で危ない目にあうことはないよ」と喧伝したことになる。

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イギリス中央銀行の地下に眠る大量の純金インゴット
イギリス中央銀行の地下に眠る大量の純金インゴット

説明によるとイギリス中央銀行の地下金庫に眠っているのは24金製の28ポンド(12.7キログラム)の金の延べ棒数千本。チョコレートか最中(もなか)の生産工場のようにも見えるが、ここに積み重ねられているのはすべて金(きん・Gold)。

「世の中に出回る現金は、それを裏づけする金の量に比例する」「紙幣は金との交換を保証する兌換券に過ぎない」という金本位制度は、近世においては第一次大戦後に適用されたものの1929年の世界大恐慌をきっかけに離脱。第二次大戦後は間接的ながらも金本位制が適用されていたが、例のニクソン・ショック(1971年8月に突然アメリカのニクソン大統領が固定比率による、ドルと金との交換停止を発表した)で金本位制度は終えんを迎えている。

しかし過大なレバレッジによるの「裏づけのない資金の暴走」がもたらした金融危機と、世の中に出回っているお金の大部分が「段ボール程度の裏づけしかない」と皆が知るようになり、金融上の価値としてもっとも権威のある「金(Gold)」への信頼・期待が再び、そしてこれまで以上に高まっているという。今回の地下金庫の埋蔵金ならぬ埋蔵インゴットのお披露目も、この効果を最大限に活かして情勢を安定させる意味合いがあるようだ。

説明によれば写真の範ちゅうだけで210トン・1万5000本もの金の延べ棒が存在し、それは現時点の価格で30億ポンド(4600億円)の価値があるとのこと。そしてもちろん写真に映し出されていないところには、もっと多くの金の延べ棒が並んでいると説明している。実際にはこの20倍、4600トン・730億ポンド(11兆3000億円)分もの金があるという。

もちろんセキュリティは万全で、金庫の存在はともかく、その内部構造については秘密の部分が多い。さらに「明らかにされていないところが多数存在する」ということ自身、安全性を高めている。また、これ以上の大きさを持つ「金(Gold)」の保管場所は、アメリカのニューヨークに位置する連邦準備制度理事会(FRB)銀行の大金庫だけ、とのことも表記されており、「世界で二番目の金保有倉庫を持つ(から安心してね)」とアピールしている。

イギリス中央銀行がかねてより昔から(実際、貯蔵されている金の延べ棒はさまざまな種類の刻印がおされていて、歴史の蓄積を感じさせるとのこと)保存している、その磐石な基盤の裏づけとなる延べ棒たち。言葉通り重厚感に満ちあふれ、何ものにも代えがたい威圧感を持つ金(Gold)の存在こそが、金融危機最後のとりでとなるのかもしれない。

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