ジェネリック医薬品を使わない理由、三人に二人は「医者に薦められないから」

2008年10月21日 06:30

お薬イメージ情報サイト「ブロッチ」などを展開するアイシェアは10月20日、ジェネリック医薬品(後発医薬品)に関する調査結果を発表した。それによるとジェネリック医薬品を使わない理由について、「医者に薦められないため」と回答した人が6割強に達していたことが明らかになった。効用や価格、信頼性、認知度などの諸問題以前に、医者からの推挙がないことで普及が遅れている、と考える向きもあるかもしれない(【発表リリース】)。

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今調査は9月22日から9月28日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの登録会員に対して行われたもので、有効回答数は376人(※回答母数自体は412人。そのうち医者から薬を処方されたことがある人が376人)。男女比は51.1対48.9。年齢構成比は20代12.0%、30代47.6%、40代29.3%、その他11.2%。

「ジェネリック医薬品」とは「後発医薬品」のことで、成分や製法の特許が切れて特許を持っていないメーカー以外の企業が、その特許内容を利用して製造した医薬品。同じ主成分を「含む」ため建前上は「同等の効用を表す」ということになっているが、添加物などの副成分が異なる場合があること、製法をまったく同等に再現できるかどうかの問題もあり、先発医薬品(特許下の医薬品)と同じであるとは言いがたい。

品質的にも多種の意見が交わされているが、中には先発医薬品以上の服用のしやすさを発揮しているジェネリック医薬品もある。また、特許関連の経費を計上しなくても済むので先発医薬品と比べて安上がりで済む場合が多く、医療費削減を望むサイドからは歓迎されている。

そのジェネリック医薬品だが、「使ったことがある」人は全体の23.9%にとどまっている。逆に「使ったことが無い」76.1%にその理由を複数回答で尋ねたところ、もっとも多かった意見は「医者に薦められないため」で65.0%・三人に二人という結果になった。

ジェネリック医薬品を使ったことが無い理由(複数回答・286人)
ジェネリック医薬品を使ったことが無い理由(複数回答・286人)

使ったことが無い人限定のため全体から母数が間引かれており、多少のぶれが懸念されるのと、年齢層別の差異があまりみられなかったので全体・男女別のみでグラフを構成した。男女にやや差異はあるものの、「医者に薦められないため」の回答が圧倒的に多いことが分かる。

ジェネリック医薬品ではそれ自身の認知度や製法・効能・成分・提供メーカーなどに不安があるとして、推進派では大規模な広報展開を行っている。しかし例えば「ジェネリック医薬品を知らなかったので使っていない」とする人は全体の2割に過ぎず、患者にとっては神様にも等しい医者の言が無いのが、使用されない最大の理由であることが分かる。


今調査結果では医者に対する設問がないため、医師がジェネリック医薬品を薦めない理由までは判別できない。処方せんの記述方法もこれまで「後発医薬品への変更可」への署名だったのが、4月から「後発医薬品への変更不可」への署名と変更され、署名なき場合は原則してジェネリック医薬品が使えるようになった。少なくとも処方せんの形式で、ジェネリック医薬品が薦められない、ということではないようだ。

また、医者そのものがジェネリック医薬品を「知らない」という事はありえない。なぜ医者が薦めないのか、そしてなぜ薦めないような状況なのかを考える必要があるのかもしれない。

ジェネリック医薬品については日本でも中小大手各製薬メーカーが参入に名乗りを上げ、先発医薬品メーカーの中には新事業としてジェネリック医薬品部門に参入を始めているところもある。今後供給が拡大するにつれ、各種体制も整備されてくるだろう。効用などに関する論議を続けつつ、医者・患者双方の意思を最大限に尊重しながら、選択肢の一つとして認識されねばならない。そして総合ガイドブック的な立場の【日本版オレンジブック・総合版】などによる情報展開も推し進める必要があるに違いない。

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