中国産の冷凍いんげんからほぼ原液の高濃度農薬ジクロルボス検出

2008年10月16日 08:00

食の安全イメージ厚生労働省は10月15日、【ニチレイ(2871)】のグループ会社のニチレイフーズが販売している冷凍食品の「いんげん」(250g)において、異臭などの苦情があった報告を受けて残品の分析をした結果、農薬のジクロルボスが6900ppm(ほぼ原液に近い濃度)で検出されたことを発表した。それと共に自治体や販売店に対し注意勧告をすると共に、関連機関への調査を指示、さらに市民に対しても該当商品を口にしないよう注意を呼びかけている(【発表リリース】)。

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ジクロルボスが検出された商品「いんげん」(250g)(同種類商品)
ジクロルボスが検出された商品「いんげん」(250g)(同種類商品)

リリースなどによると、今回ジクロルボスが発見されたのは、東京都の八王子市のスーパーで販売された中国産の冷凍いんげん。これを食した消費者から、異味、異臭(石油臭)がし、舌のしびれとむかつきがあったとの苦情を受け、保健所でも異臭を確認。苦情品の残りを調べたところ、有機リン系の殺虫剤として使われる農薬ジクロルボスが6900ppm検出された。この量は残留農薬として発見されうる量をはるかに超え、原液が直接混入されたものでないと検出は難しいとのこと。

この調査結果を受け、厚生労働省などでは

・国民に対し、家庭に保管されている当該製品を摂食しないよう、注意を喚起すること。
・関係地方自治体を通じて輸入者及び販売者に対し、原因が判明するまでの間、当該製品の販売を見合わせるよう、指示すること。
・各地方自治体に対し、同様の事案が発生した場合には、直ちに報告するよう、要請すること。
・検疫所に対し、当該製品の製造者(Yantai Beihai Foodstuff Co.,Ltd.)からのすべての食品の輸入手続を保留すること。


などの対応を行っている。なお該当商品は賞味期限2010年1月7日付けのもの。イトーヨーカ堂及びその系列店でのみ販売されていたが、すでに販売は中止、商品の回収が行われている。

ちなみにジクロルボスとは有機リン系化合物で、国内では農薬(殺虫剤)、動物用医薬品、家庭用殺虫剤、自治体や防除業者による防疫用殺虫剤として使用されている。一日摂取許容量は0.0033mg/kg体重/日。そして6900ppmという濃度だが、リリースの説明によると「この量のジクロルボスが含まれた冷凍いんげんを体重60キログラムの人が約0.07g摂食すると、急性参照量(24時間未満の短時間で摂取すると健康に悪影響を及ぼしうる限界)に達する」とのこと。

現時点では生産、加工、流通、販売いずれのルートでも混入は否定されており、(未確認ベースでは何件か報告があるようだが)同様の他事例は報告されていない。濃度の高さともあわせ、意図的な混入が示唆されているが、詳しい状況や事態の解明は今後の調査次第といえるだろう。ともあれ、「また中国産か」と揶揄されるような結果にでもなれば、食の安全への懸念が再び高まるものと思われる。

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