イギリスの研究機関いわく「地球環境のために肉は配給制、一週間に四切れだけ」

2008年10月03日 06:30

牛イメージ先に【国連気候担当者いわく「お前ら肉食うな」】で、国連の気候研究担当者が「肉はエネルギー上の製造コストが非常に高く効率が悪い。それが資源を浪費する原因になる」として、肉を食べることを極力抑えるよう報告をしたことをお伝えした。これと同様の警告をうながした報告書の話が【Mail Online】によって伝えられた。いわく「肉は配給制。一週間につき四切れのみ支給」というものだ。

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この報告書は政府が補助金を出して研究が進められているthe Food Climate Networkが提示したもの。地球環境の問題を解決する一つの手立てとして、2050年までに「牛乳と肉を配給制にして、牛乳は1日120ミリリットル、肉は1週間に4切れだけにするべきだ」と報告している。ちなみにイギリスでは排出される地球温室化ガスのうち、8%が牛や羊、豚などの農業・酪農絡みのものだ(大部分は動物からの「げっぷ」によるメタンガス)。また、国連の調査機関では温室化ガスのうち18%が「肉」を起因としていると伝えている(自動車などの輸送機関によるものは13%)。

Surrey大学で4年をかけて作成されたこのレポートでは、もしイギリス人がこのままの排出量を続けて消費生活を維持していたら、食糧消費量の1/4を減らさねばならなくなるだろうと語っている。これは1日おきに110グラムほどの肉を減らさねばならない計算になる。具体的にはこの量はソーセージ2本分か3~4枚のベーコン、あるいはハンバーガー1/4程度に該当する。牛乳ならば一週間につき牛乳をかけたシリアル一食分を抜くか、またはチーズ入りのサンドイッチ3つ分程度。

もちろん今後農業関連の技術も進歩するので、2050年までの間には農業などから排出される温室化ガスの排出量が、今までと比べて単位面積・生産単位あたりで半減されるかもしれない。しかしそれ以上に人口が増加し、食料の生産量も増やされるため、技術進歩による排出ガス削減もあまり意味をなさないものになってしまう。

■地球に優しいイギリス人の食生活
(一週間あたり)
・鶏肉2切れ → 1切れ
・ソーセージ6本 → 2本
・ハム4枚 → ナシ
・ベーコン8枚 → 3枚(薄切り)
・ハンバーガー3つ → 1つ
・牛乳3リットル → 0.5リットル
・チーズ100グラム → 50グラム

今レポートを主導したTara Garnett嬢は次のようにコメントしている。「将来的には、現在の我々からみたら『とんでもない、無茶いうな』的な制限を課せねばならない事態に陥るかもしれません」と。同時に肉や牛乳の制限について「肉や牛乳の消費量をひかえるように、という消極的な推奨運動はうまくいかないだろう。(冒頭で述べたような配給制にするか、あるいは)個人ベースで商品やサービスに対するカーボンオフセットの仕組みを導入しなければならないかもしれない」と(ちなみに彼女は、自分が何年も前からベジタリアンであること、しかしながら少量ならば肉を食べても問題はないとも言及している)。

平均的なイギリス人は一週間あたり1.6キロの肉と4.2リットルの牛乳を飲む。これは鶏肉二切れ、ソーセージ6本、ハム4枚、ベーコン8枚、ハンバーガー3つ、3リットルの牛乳と100グラムのチーズをあわせたものに相当する。この量を「温室化ガスに配慮した」配分量にするとなると、ハンバーガー1つ、ソーセージ2本、ベーコンは薄切り3枚、鶏肉一切れ分、0.5リットルの牛乳と50グラムのチーズになる。我慢できるかどうかを考えると、確かに「とんでもない」という意見が大半を占めるに違いない。


温暖化イメージ元記事のコメント欄には100件以上もの意見が寄せられ、活発な議論が交わされている。「一週間に肉が四回も食べられるなんて幸せだ」という茶化しているのか真面目なのかよく分からない意見や、「農業から排出される温室化ガスが8%なら、残りの92%への注力を積極的に行うべきだ。本末転倒ではないか」、さらには「食用の動物だけでなく草を食べるすべての動物について『考慮』しなければならなくなる。さらにはマラソンなどの各種運動も止めねば」という皮肉めいた意見も見られる。

先の国連の研究結果を記事にした際にも、掲示板などで「研究担当者はベジタリアンだったのでは? だから肉食に対して辛らつな意見が言えたのかも」「現在の農業のスタイルではハウス栽培や肥料などで多量のエネルギーを消費している。その部分を考慮して単純に『農作物の方が温室ガス消費量が少ない』といえるのか」という疑問の声が寄せられた。

「配給になれば今より多くの肉が食べられる」という意見は別にして、「本当に肉食より穀物の方が、二次・三次生産品より一次生産品の方が効果的に温室ガスを押さえられるのか」については、専門家によって真剣に考察する必要があるだろう(単純に考えれば家畜を飼うのに使われる穀物から得られるエネルギーと、その家畜から得られるエネルギーとでは、前者の方が多い気はするのだが……)。

(最終更新:2013/08/02)

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