不死身の男も金融危機にはかなわず・カリフォルニア州のシュワルツェネガー知事が7350億円を要求

2008年10月05日 12:00

株式イメージ【Los Angeles Times】は10月3日、アメリカのカリフォルニア州の知事アーノルド・シュワルツェネガー知事が10月2日に「数週間以内に連邦政府から最大で70億ドル(7350億円)のつなぎ融資を必要とするかもしれない」とポールソン財務長官に電子メールを送ったことを伝えた。行政運営のための必要経費調達に利用していた短期貸付金(地方債)が、昨今の金融信用危機で利用できなくなったためだという。

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カリフォルニア州は行政運営のための資金の多く(要は「運転資金」)を、地方債の発行でまかなっていた。ところが現在、極端な金融信用危機におちいっているため、地方債を発行しようとしても買い手がつかない状態。このままでは資金不足で学校や公共法人への支払いがとどこおり、公務員の一部を解雇する必要さえ出てくる。直近の具体的な話としては、10月28日までに州の口座に30億ドルが用意されていないと、1000以上もの学校に支払う予算(要は先生たちへの給料)が支払えなくなる。

報道によれば(「The Times」が伝えるところによる、という伝言ゲーム的な話になっているが)「根本的な財務危機への解決策が見出されなければ、カリフォルニア州や他の一部の州は、公共サービスを維持するために必要な資金を連邦政府から借り入れねばならない」と10月2日にメールしたという。さらにその後、シュワルツェネガー知事の側近がポールソン財務長官の秘書に、電子メールの内容について確認の電話を入れたとも伝えている。ちなみにカリフォルニア州の歴史上、これまで連邦政府から融資を受けた経験はないとのこと。

2003年の財務危機の際、カリフォルニア州では「ペイデイローン」(給料を担保にした、短期間・高金利の貸出金)を利用し、どうにかやりくりしたことがある。ところが現在、金融信用危機で貸し手がいないため、その選択肢すら利用できない状態とのこと。まさに八方ふさがりなわけだ。

実はこのような状況はカリフォルニア州に限ったことではなく、例えばニューメキシコ州では5億ドルの地方債販売を延期、マサチューセッツ州では4億ドルの地方債を発行したが売れ残りが発生、メイン州では地方債で資金をまかなうはずだった道路工事が中断のうめきにあっている。

アメリカだけでなく多くの国では、地方自治体が地方債(地方自治体発行の公債)を発行し、運転資金や大型プロジェクトの資金に充当している。しかし地方債とて債券には違いがない。金融信用危機で債券市場の流動性が極端に低下し、さらにその公債に対して保証を行うモノライン(金融保証会社)も格付けを下げられ保証価値が低いと判断されている現在、アメリカの地方自治体が地方債を発行しても買い手が無く(=資金調達が出来ない)、地方自治体の行政活動がアップアップしてしまうのは容易に想像がつく。いわばフルマラソンで、中継地点における給水ポイントが閉鎖されてしまったような状態。なお現時点でシュワルツェネガー知事からも財務省からも、今件に関するコメントは無いとのこと。

記事では、場合によっては地方債を連邦政府に買い取ってもらうことも示唆している。ただしこれを許可すると、多くの州から買い取り要請が殺到する可能性もあり、現実性は薄いようだ。

映画『ターミネーター』のように、金融信用危機が起きていない過去にタイムスリップして資金をまとめて調達してくるということが出来ない以上、かのシュワルツェネガー知事でも金融信用危機にはお手上げな状態のようである。

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