株主優待の肯定派は6割強、食事券や商品券が大いに好まれる

2008年10月11日 12:00

株式イメージ【野村證券(8604)】の金融経済研究所は10月6日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2008年9月計測分、PDF】)。それによると株主優待制度については6割強の人が企業に対して導入してほしい制度であると考えていることが明らかになった。具体的な優待品の内容については、食事券や商品券などの金券に人気が集まっている。

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今調査は1000件を対象に9月19日から22日に行われたもので、男女比は70.1対29.9。年齢層は40歳代がもっとも多く32.0%、ついで30歳代が24.5%、50歳代が22.5%など。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く25.2%、500万円~1000万円が21.4%、200万円~500万円が18.4%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く33.4%を占めている。次いで5年以上が19.0%、1年から2年未満が18.7%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く49.2%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が24.8%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めているのはこれまでと変わりなし。

「株主優待制度」とは配当とは別に、企業(主に上場企業)が株主に対して提供する「感謝の気持ち」。自社商品を贈呈したり自社展開のイベントに招待して事業の内容への理解を深めてもらったり、自社店舗の割引券を送って来店をうながしたりする。また、証券会社やFX業者では相場つながり(米相場は深い歴史を持ち、ローソク線もその当時に生まれたという説が濃厚)からお米やお米券の優待が多い。また、取締役会の決議で決定できるので、創設・廃止が簡単なところから、ちょっとしたきっかけで新設されたり廃止されることも多い。

さてその「株主優待制度」、導入して欲しいか否かについて尋ねたところ、「積極的に」「どちらかといえば」をあわせて6割強の人が「導入してほしい制度」と回答した。

株主優待制度に対する考え方
株主優待制度に対する考え方

否定派はわずか3.2%。3割近くは「内容次第」と答えている。つまり(少なくとも今調査の母体では)株主優待制度に否定的な人はほとんどいないことになる。

では実際にどのような優待内容が期待されているのか。もっとも多くの人が答えた項目は、食事券や商品券などの「金券」だった。

期待する株主優待の内容
期待する株主優待の内容

先の説明にもあるように、株主優待の主目的である「自社の事業や経営方針を知ってもらうための贈り物」に該当する自社商品や利用招待券などの項目もかなり高めの数字が出ているが、それにも増して「金券」を多くの人が望んでいる。これは株主が「企業アピール」より「使い勝手の良いプレゼント」を望んでいることを表す一面なのかもしれない。


今調査の他項目(優待制度が銘柄の判断基準となった人は63.9%、優待制度がある銘柄には株価はあまり気にせずに長期保有する人は53.2%など)にもあるように、株主優待には株主の関心を企業に向けさせ、長期安定株主化が期待できるという効力がある。保有していなければ株主優待は得られないし、企業の安定が優待の継続につながるから、経営陣に対しては押しなべて肯定的になるからだ。

しかしながら優待品の好みにおいては、「金券」という回答がもっとも高い数字を見せている。これなら優待を廃止し、その分配当を高めても何ら文句はいえないし、あるいは株主もそれを望んでいる感もある。

やはり株主優待は企業側の「自社をもっとよく知って欲しい」という贈り物としての想いがかいま見られるようなものが望ましく、受け取った側も嬉しいものではあるのだが……。やはり世の中、言葉通り「現金な時代」になりつつあるのかもしれない。

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