金融危機救済案の規模をグラフ化してみる

2008年09月28日 12:00

株式イメージ先日からいまだに議会内で交渉が続いている、アメリカの金融危機救済案(金融安定化法案)。国債発行による公的資金を活用し不良資産を買い取るというものだが、予算総額が7000億ドル(73.5兆円)に達する巨額であることや、責任所在の明確化などで反対の意見も根強く、アジア市場開場の29日朝までに決着がつくかは微妙なところ。その焦点の一つ「予算総額の大きさ」を具体的に表す図解が【USA TODAY】に掲載されていた。元図はカーソルを合わせるだけでそれぞれの項目の予算額と今件案との差が分かるインタラクティブなものだが、今回はそれを素直に棒グラフ化してみることにする。

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日本人である我々が分かりやすいように1ドル=105円のレートで円換算し、その上でそれぞれの予算を棒グラフ化したのが次の図。

金融危機救済案予算額(7000億ドル)と他予算の比較(兆円・1ドル105円換算)
金融危機救済案予算額(7000億ドル)と他予算の比較(兆円・1ドル105円換算)

いくつか説明を加える必要があるだろう。「歴史的企業救済」部分に並べられた項目のうちいくつかは、過去に起きた事例。元記事のUSA TODAYによれば当時と現在のドルの価値を比較して、換算した上で計算しているとのこと。また「コンチネンタル・イリノイ銀行」や「セービングアンドローンズ」救済については、今議論中の金融危機救済案に類する点も多い。興味のある人は詳しく調べてみると何か役に立つかもしれない。

今回の金融危機救済案が市場全体を対象としたものとはいえ、いかに一企業救済の額と比べると巨大なものであるか、あるいは国家予算の各項目と比べても高額であるかが分かる。さらには「戦費の無駄使い」とケチをつけられている対イラク戦、さらにはベトナム戦争の戦費に匹敵するほど巨大な額であることを見ると、「世界的経済危機救済のためとはいえ、果たして事態を引き起こした責任者たちがロクに責任も負わずにビッグマネーをつかんで美味しい思いをし、ヘマの巨額なツケはこちらに回されるのはいかがなものか」とアメリカ市民の間にも反発の意見が高まっているのは理解できる気がする(実際には【アメリカ国債の引き受け先をグラフ化してみる】にもあるようにアメリカの国債を引き受ける国が間接的な負担を背負うことになるのだが……)。

一部報道によれば、議会内の法案反対派との間には複数の、合意に向けて必要な論点が残っているという。あるいはアメリカ市民たちを納得させるような、「しかるべき責任所在の明確化」もこの論点に含まれているのかもしれない。

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