ネット広告を頼むと新聞広告がオマケについてくる時代

2008年09月22日 08:00

広告イメージインターネットそのものの普及と共にネット広告が広まりだしたころ。認知度がまだ低いことや大手代理店が紙媒体への注力を続けていたこともあり、ネット広告そのものを受け付ける広告主はほとんど現れなかった。当方が当時従事していた某独立系情報サイトには一向に広告へのオファーが無く(※アクセスはそれなりにあった)、一方で新聞や雑誌から派生したサイトにはそれなりに広告が掲載され首をかしげたもの。ところが後になって「それぞれが持っている紙媒体とセットで、あるいはオマケとしてネット広告が提供されている」と実情を聞き、納得すると共にふてくされたものだ(笑)。しかし今やその立ち位置がまったく逆転するような話が舞い込んで来るようになった。【メディアパブ】に先日掲載されていた、【Publishing 2.0】でのお話。アメリカでのメジャー紙【NewYorkTimes】の自社広告による情報だが、「オンライン求人広告」を出せば、「オマケ」として自社新聞紙への広告をタダで掲載できるというものだ。

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「期間限定:395ドルでオンライン広告で求人広告を出そう。プリント(新聞)での広告もタダで掲載できるよ」
「期間限定:395ドルでオンライン広告で求人広告を出そう。プリント(新聞)での広告もタダで掲載できるよ」

NewYorkTimesは最近巡回サイトに加えたこともあり、この広告自身は見たことが無かった。慌てて多くのページを巡回したが、残念ながら確認はできず。あるいは「期間限定」の期限を過ぎてしまったのかもしれない。元記事では「事態はかつてとまったく逆転してしまった(Now THAT’S a reversal.)」とコメントしている。

さらに詳しい広告もあわせて掲載されていた。

新聞広告のオマケ付の、オンライン求人広告のお知らせ(詳細版)
新聞広告のオマケ付の、オンライン求人広告のお知らせ(詳細版)

詳しい解説には「すぐにでも、即日求人受付が可能」「有効期間は60日」「ニーズに合わせて応募要綱も変更可能」など、オンライン広告ならではのメリットが箇条書きにアピールされている。

そして赤文字で「期間限定サービス(Limited Time Offer)」と銘打ち、「オンライン求人広告を出稿すれば、次の日曜のNewYorkTimes紙に無料で広告を載せますよ(ただし木曜日中に出稿されたものまで)」と説明されている。つまり「オンライン広告を出せばその週の日曜版に新聞そのものへも同じ内容の広告を出しますよ、しかも無料で」ということだ。先の広告バナーと合わせて考えれば、約4万円で(単一の求人要件ながらも)オンライン上、そして日曜版の新聞そのものに広告が打てることになる。日本で例えるなら、「NIKKEI NeTに広告を出稿すると、日経新聞の日曜版にタダで同じ内容の広告が展開される」という感じ。

ネット広告と紙媒体広告の
主・オマケの立ち位置の入れ替えは
読者や広告主のニーズの現状や
新聞メディアの置かれている現状を
如実に表している

即効性を求めるため、あるいは「オンライン広告を使うことで、自動的に『ネットを使いこなせる』という事前選考をする」と考えている広告主にとっては、その有効性が今ひとつと感じられるかもしれない。しかしそれを差し引いても、「ネットの広告のオマケ」に「紙媒体の新聞広告がついてくる」というのは、元記事の「逆転」という言葉がまさにぴったりくる事態といえよう。

広告イメージ元々新聞社のネット化促進が進むと共に、業界再編が加速度的になりつつあるアメリカのメディア業界。NewYorkTimes紙はその最前線を突っ走っているともいえる(トリガー記事の「メディアパブ」を読んでいればその流れがひしひしと伝わってくる)。元記事では「NewYorkTimes紙はビジネスにおける紙媒体とネット媒体の立ち位置を逆転させる実験をしている。これが今後のトレンドになるのだろうか(NYT is trying to reverse the economic polarity of its business.Is this kind of offer a trend?)」とコメントしている。アメリカではあるいは本当に、今後このようなスタイルが主流になるかもしれない。

日本ではどうだろうか。

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