プロデュース(6263)、民事再生法適用申請・10月27日に上場廃止

2008年09月27日 12:00

株式イメージ電極塗布装置と計測装置をメイン事業とし、太陽電池関連銘柄として注目を集めていた【プロデュース(6263)】は9月26日、新潟地方裁判所に民事再生法適用を申請し、保全命令を受けたことを発表した(【発表リリース、PDF】)。負債総額は74億0100万円ほど。これに伴いジャスダック証券取引所も同銘柄の上場廃止を決定。9月27日から10月26日までを整理ポストに割り当て、27日に上場廃止とする。

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プロデュースは1992年に設立された電子部品製造装置、半導体製造装置。2004年秋には上場を目指して長野県に新工場を建設するもその直後に新潟県中越地震で被害を受け、上場そのものが危ぶまれる。しかしそこから体制を建て直し2005年末に上場。その後は(会社発表データ上では)売上高は順調に躍進し、2008年6月期の決算では売上高163億7100万円・純利益12億3300万円の規模にまで達する。さらに8月末にはジャスダックから「IR優良会社」として表彰を受けることになる(【該当ページ・現在は告知も無く削除されている】)。

「IR優良会社」としてジャスダックからも表彰を受けている
「IR優良会社」としてジャスダックからも表彰を受けている

しかしながら9月18日に証券取引等監視委員会から架空循環取引を繰り返して売上を水増ししていたとし、金融商品取引法違反容疑で強制捜査を受け信用が著しく低下。22日には臨時取締役会で佐藤英児前社長を解任し、中井裕正常務執行役員を社長に任命。新体制で臨む姿勢を見せていたが、9月30日に返却期限となる短期借入金を返すことも出来ず、充当するための新規借り入れや借り換えも困難に。資産劣化を防ぐため、今回の措置となった。

同銘柄は新興市場全体が軟調な中、太陽電池関連銘柄として注目を集め、複数のアナリストなどからも好評価の言及がなされ、さらには上記にあるようにジャスダックからも表彰を受けたこともあり(市場全体の弱さの中では)比較的堅調に推移していた。しかし9月18日の循環取引に伴う強制調査という異例の事態が報じられてからは投売り状態が続き、わずか4営業日での事実上の破たんと相成った。

ここ2週間ほどのプロデュースの株価動向
ここ2週間ほどのプロデュースの株価動向

上の株価推移を見てもらえばお分かりの通り、強制調査を受けたことが報じられた後、その事態の異常さを受けて売りが殺到するも、ストップ安比例配分扱いでほとんど取引が成立していない。26日の引け後に民事再生手続きの発表が行われるまでの4営業日で、出来高はわずか188株。通常の出来高が500~1000株だったことを考えると1日分の出来高にもならない。事態の進展があまりにも急すぎ、多くの投資家が「逃げ遅れた」形となる。

強制捜査からわずか10日で
短期借入金の返済も出来ずに
民事再生手続き申請へ

財務実情は公開諸表と比べ
かけ離れていた可能性も

繰り返しになるが今銘柄は「低迷する新興市場の中では比較的脚光を浴び、堅調に見えた」「業務成績も堅調に成長しているように見えた」「ジャスダックからも適切なIR活動をしているとお墨付きをもらっていた」「昨今の注目要素である太陽電池にも深いかかわりを持つようになった」などの理由から、短期的な売買目的としてではなく、中長期的な成長期待株として注目を集めていた。それだけに今回の電光石火の展開には、多くの株主が唖然とし、言葉も出ない状況に置かれているものと思われる。

循環取引の内容については今後の証券取引等監視委員会の調査報告や会社発表を待たねばならないが、場合によっては上場前後の業績の躍進振り、果ては上場規定をクリアするための売上そのものですら底上げされていた可能性も否定できない。ただでさえ新興市場企業に対する嫌疑の目がキツくなっているこの時期に、さらに事態の悪化に拍車をかけるだけでしかないこのような所業に対し、プロデュースの株主・関係者はもちろん、他の新興市場企業や株主もやるせない思いをいだいているに違いない。

夢の実現に取り組む商品を「プロデュース」しようと心がけるのは結構な話。しかし多くの投資家の期待を裏切り涙させるような、さらには市場そのものの信頼性を失墜させるような事態を「プロデュース」するのは、正直勘弁願いたいところである。

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