灯油+53.2%、スパゲッティ+33.2%、即席めん+20.7%……必需品で急騰続ける物価

2008年09月28日 12:00

物価高イメージ総務省統計局は9月26日、消費者物価指数の2008年8月分を各種データと共に発表した。全体の総合指数(CPI)は2005年を100とすると102.6となり、前年同月比では2.4%の増加、11か月連続のプラスを記録した。食料・エネルギーを除く総合指数は99.4、前月比で0.1%のプラス。先月と同じ水準であり、「食料・エネルギー」の生活に欠かせない消費財の値上がりがいちじるしいことがうかがえる(【発表ページ】)。

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消費者物価指数」とは、全国の世帯が購入する家計に関係する財やサービスの価格などを総合した物価の変動を、時系列的に測定するもの。つまり「家計の消費構造を一定のものに固定し、これに関連する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもの」。言い換えれば「平均的な日本の世帯が購入・消費している商品の価格変動と、その価格の変化かどのように家計に影響するかを示したもの」ということになる。

今回発表されたデータにも、いつもの通り総合指数と、食料・エネルギーを除く総合指数の直近3年間の動きがグラフ化されている。それを見ると、総合指数(=物価)そのものが食料とエネルギーで大きく押し上げられているのが実感できる。

総合指数と、食料・エネルギーを除く総合指数の直近3年間の動き
総合指数と、食料・エネルギーを除く総合指数の直近3年間の動き

10大費目指数について指数そのもの、及び前月比を一覧化すると次のようになる。

・総合……102.7(+0.3%)
・食料……104.3(+0.5%)
・住居……100.0(±0.0%)
・光熱、水道……114.3(+0.6%)
・家具、家事用品……95.7(-0.5%)
・被服および履物……97.9(-1.7%)
・保険、医療……99.3(-0.1%)
・交通、通信……106.4(+0.5%)
・教育……102.3(±0.0%)
・教養、娯楽……98.6(+1.5%)
・諸雑費……102.2(+0.1%)


3年間で水道光熱費が1割強かさ上げされているのを除けば「さほど値上げ感はないのかな」というのが正直な感想のはず。しかしこれはあくまでも各項目全体としての値なので、所要項目で見てみると雰囲気も違ってくる(光熱、水道は構成項目が少なく、いずれもが値上がりしているので、全体的にも上げ幅が大きくなる)。

これだけでは物価上昇の実感がつかみにくいので、追加資料として添付されている主要品目を抽出してみることにする。

エネルギー構成品目の8月分における先月比・前年同月比
エネルギー構成品目の8月分における先月比・前年同月比

万分比ウエイトとは全体に占める割合。数が多いほど家計に与えるインパクトが大きい、と考えればよい。8月に限ると灯油は前年比5割強の上昇。鼻血が出すぎて干からびそうな額で、原油高の影響がいかに大きいかがわかる。ガソリン価格・石油価格はやや落ち着きを見せつつあるが、逆に灯油は上昇を続ける気配を見せているのが気になる。このまま今冬までこの傾向が継続すると、18リットル3000円超えが冗談話にならなくなる可能性も。

一方で交通費や通信費はほぼ横ばい。ただし自動車保険は大幅な下落を見せている。これは業界内の競争が激化していることを意味する。IT系を中心とする耐久消費財が大きく値を落としているのもこれまで通り。

気になる食材だが、あまり直視したくないデータが出ている。

食品構成品目の8月分における先月比・前年同月比
食品構成品目の8月分における先月比・前年同月比

元データには前年同月比で増加した品目上位10位までがリストアップされている。スパゲティや即席めん、食パン、食用油など「粉もの」「乳製品」「油」の価格がずば抜けて値上がりしているのが分かるだろう。例えば即席めんなら昨年8月と比べて2割値上がりしている計算になるわけだ。また「うなぎかば焼き」が高い値を示しているのは、中国産うなぎの品質問題により、(値の高い)国産うなぎに注目が集まったためと思われる。

もちろんこれら10品目以外も少なからぬ上昇率を見せていることに違いは無い。例えば鶏肉は前年比12.0%、卵は10.4%、調理パンですら7.6%のプラスの値を示している。


原油価格は「現状では」高止まりからやや値を下げる展開を見せており、これに連動する形でガソリンも値を落としつつある(それにしては灯油が高止まりなのは気になる)。食料品価格の値上げもこれほどまでに相次ぐと、実際に影響があるのは分かっているのだが聞きなれてしまいつつあるのが悲しい現実。それでも確実に、財布の中身にダメージを与えていることは否定できない。

手取りの増加を期待できるほど景気が良いわけではないのは皆が承知している事実。つまり「収入は変わらずむしろ減り、出費ばかりが増え、結果として生活は厳しくなる」という状況は避けられそうに無い。詳しくは【灯油+29.2、スパゲッティ+30.2%、即席めん+18.4%……必需品で急騰する物価】の文末で解説しているが、現状はまさにスタグフレーション下にあると表現しても言い過ぎではなく、厳しさは今しばらく続くことが予想される。

「この世に明けぬ夜は無し」。扇動の声にまどわされること無く自我をしっかりと持ち、創意工夫と知恵を駆使し、夜が明けるまで耐え忍ぶのが一番賢い生き方といえよう。

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