猛暑・低温多湿が足を引っ張る…2008年8月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-1.0%

2008年09月23日 12:00

【日本チェーンストア協会】は9月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年8月度における販売統計速報を発表した。それによると8月は天候が猛暑・低温多湿と悪条件が度重なり衣料品や住関品の動きが鈍く、それらが全体の足を引っ張り、総販売額は前年同月比を下回ってしまった。またリリース中にも明確に「所得が伸びない中で、ガソリンや食品の価格上昇等からお客様は生活防衛色を強めている」と表記され、消費者の消費マインドが落ち込んでいることを改めて実感させる内容となっている(【発表リリース】)。

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今調査結果は協会加入の71社・8597店舗に対して行われている。店舗数は先月比で25店舗減、前年同月比で67店舗減。売り場面積は前年同月比96.4%と3.6%ほど減っている。企業数も減っていることから、業界からの脱落組の登場が全体的な店舗数などを減らしているのだろうか。業界全体の淘汰のありさまがうかがいしれる。

7月の統計データでは店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示していたが、今月発表分の8月分データでもその傾向が続いてしまった。特に従業員数が前年同月比で93.3%と先月同様に大幅減少の状態にあることから、人件費を大幅に減らしてコスト調整をしているのが見て取れる。先月は「それで売上も落ちてしまっては元も子もない」と書いたが、あるいはこれでもまだ「まし」なのかもしれない。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

■総販売額……1兆1050億6828万円
・食料品部門……構成比:64.2%(前年同月比100.9%、△0.9%)
・衣料品部門……構成比:9.9%(前年同月比92.5%、▲7.5%)
・住関品部門……構成比:19.5%(前年同月比96.5%、▲3.5%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比95.8%、▲4.2%)
・その他…………構成比:6.0%(前年同月比99.6%、▲0.4%)


天候不良で
通常軟調な衣料・住関品が
大幅下落。
堅調だったサービスにも
不調の波が押し寄せる

8月は前半は猛暑、後半は低温多雨で天候不順まっしぐらな状況が続き、衣料品や住関品の動きが非常に落ち込んだ。それにつられてか通常は堅調に推移していたサービス部門もわずかにマイナスとなり、食料品のプラス面で全体を引っ張り切ることはできなかった。

食料品は全般的に好調。大量に採れて価格が落ち込み、結果としてきゅうりやレタスなどが不調扱いされているが販売数はそれなりに良いのだろう。畜産品も価格の高めな牛肉以外はすべて好調で、「食料品はスーパーでまとめて」という賢い買い方をしているようすが見て取れる。なお天候不順のせいか、飲料やアイスクリームは売れ行きがかんばしくなかった。

衣料品は傘などの雨具、フォーマル、ブラウス、パジャマなど一部商品がよく売れたものの、全般的に「不調」の言葉が踊る。住関品も小型商品、価格の安いものの動きが目立つが、大きめなもの、例えばエアコン、洗濯機、冷蔵庫などに不調さを表す表記が多い。消費者の「できるだけ安いもの」志向はますます強まっているようだ。

いくつかの消費者の消費動向データや調査結果などからも、スーパーやデパートでは食品のまとめ買い、安値狙い買いを中心に人が集まる傾向が強まっているようすがうかがえる。店の種類別に購入する商品を限定し、できるだけ総出費を抑えようという消費者の知恵が働いているようだ。天候が思わしくない8月においても、食料品が前年同月比で売上が前年比プラスに達しているあたり、その傾向を裏付けるものと見て良いだろう。無論、他の業種店舗が補完している分野の落ち込みは厳しく、全体的にも厳しい経営環境が続いていることに変わりは無い。

8月は天候の悪さもあり、いわば景気の悪化に追い討ちをかけられてしまった感のあるデパート・スーパー。業界そのものも縮小傾向を続けている。どうにも立ち行かなくなる前に、他の業種に出来ないもの、そしてキツくなったお客の財布のヒモを緩められるようなアイディアを早急に生み出さねばなるまい。

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