「読まれる雑誌」「買われる雑誌」の違い

2008年08月04日 12:00

立ち読みイメージインターネット調査会社のマイボイスコムが7月23日までに発表した調査結果によると、「よく読まれている雑誌」と「よく買われている雑誌」との間には少なからぬ差異があることが明らかになった。男女それぞれが好む雑誌の傾向とあわせて見ると、男女間の雑誌への姿勢、そして「読まれる雑誌」と「買われる雑誌」の違いが浮き彫りになってくる(【発表リリース】)。

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今調査は7月1日から5日までの間にインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1万4191人、男女比は46対54、年齢階層は30代がもっとも多く37%、ついで40代30%、50代・20代の16%など。

まず最初に見て欲しいのが「閲読している雑誌」。購買するしないを問わず(フリーペーパーの取得も含む)普段手にとって読んでいる雑誌について(複数回答)。

普段手にとって読んでいる雑誌(上位10位のみ抜粋)
普段手にとって読んでいる雑誌(上位10位のみ抜粋)

先に【読まれる雑誌、男性はジャンプで女性はオレンジ】でも挙げたように、女性が好む雑誌が上位についているのが分かる。調査母体の男女比はほぼ同数だが、女性の方が多く雑誌を読んでいる現われだろう。また、フリーペーパーがトップについており、この分野が社会生活に浸透を続けているのが分かる。

次に「購入している雑誌」。読むのではなく、「買って(読んで)いる雑誌」について同じく複数回答で答えてもらったもの。

普段購入している雑誌(上位10位のみ抜粋)
普段購入している雑誌(上位10位のみ抜粋)

「フリーペーパー」は無料だから購入雑誌に入らないのは当然のお話。そして女性が主に購入する「女性ファッション誌」「家庭情報・料理雑誌」が横すべりでトップ・第二位についている。では第三位・第四位は、「読まれている」でそれぞれ第四位・第五位だった「総合週刊誌」「少年・少女コミック誌」がついているかというと、そうではない。それらより下の順位だった「パソコン・インターネット関連雑誌」「ビジネス・実用雑誌」がついている。

「閲読」上位と「購入」上位の違い
「閲読」上位と「購入」上位の違い

「普段読まれている雑誌」と「普段購入している雑誌」との順位に違いがあることもあわせ、これらのデータ(と、先の「読まれる雑誌、~」の記事内のデータ)からは次のような状況が想定できる。

・女性が好む雑誌は単にその場で読むだけでなく、手元に残しておいて必要時に使いたいというニーズが大きい。ゆえに購入される機会が高い。
・男性が好む雑誌では、その場で読み通せる「時間つぶし」の意味合いが強い「総合週刊誌」「コミック誌」の場合「購入するまでもない」と判断されることが多い。
・他方、女性の上位雑誌のニーズと同じように「資料性・保存性の高い」雑誌は積極的に購入される傾向がある。


特に「閲読」では第11位に過ぎなかった「テレビ番組・エンターテインメント情報誌」が「購入」では第七位に、第13位だった「趣味・教育誌」が第八位にあるところからも「買って手元におく価値のある雑誌は積極的に買われる」と見て良いだろう。

では「購入しない」人たちはどのようにして「閲読する」のか。すでにお分かりだろうし、先の記事でも触れているが、買わなくとも雑誌を読む機会はいくらでも存在する。代表的なのがコンビニや本屋での「立ち読み」。

雑誌をどのような状況で読んでいるか
雑誌をどのような状況で読んでいるか(一部編集の上、再録)

赤丸で囲った項目が「自分で雑誌を購入しなくとも閲読できる」機会。思い当たるフシが山ほどあるはずだ。


先に【雑誌読む 時間は意外に 就寝前 通勤通学 あまり読まれず】でも触れたように、雑誌があまり購入されなくなった原因の一つには(通勤・通学時において)携帯三兄弟こと「携帯電話」「携帯ゲーム機」「携帯音楽プレイヤー」に立ち位置を奪われたことがある。

「総合週刊誌」「コミック誌」が
読まれるが買われないのは
「買うまでのものではない」と
読者に判断されている

しかしそれと同時に「読者が『買うまでも無い』と判断した雑誌が増えている」のも要因として挙げられよう。「総合週刊誌」「コミック誌」に「購入される大きなポイント」である「資料性や保存性」を求めるのは酷だ、という意見もあるかもしれない。しかし「資料性」はともかく「保存性」において、「総合週刊誌」「コミック誌」に求めるのは無理な話だろうか。本当に不可能なら、昔から「総合週刊誌」「コミック誌」は買われていなかったはず。

ただでさえ「携帯三兄弟」の展開や、不景気で購買層のサイフのひもがキツくなり、雑誌が購入されるまでのハードルが高くなる昨今だが。「(購入して)『保存する』ほどの内容・価値が無い」と読者に三行半を突きつけられている。そのように解釈もできることを考えると、雑誌関係者、特に「総合週刊誌」「コミック誌」関係者は、周囲環境の変化に嘆いている場合ではないのかもしれない。

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