「朝7時から夜8時まで」! 公的機関に求められる営業時間

2008年08月10日 12:00

お役所イメージ電通リサーチは7月28日、民間・公共施設における理想の営業時間に関する意識調査の結果を発表した。それによると病院・医院や銀行窓口、市役所などの公共機関(またはそれに準ずるもの)において、営業時間に不満を持つ人は非常に多く3割強から4割超えに達していることが明らかになった。また、求められる営業時間は概して朝の7時から夜の8時までとなっており、現状の営業時間とはかけ離れた値であることも見て取れる(【発表リリース】)。

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今調査は6月30日から7月1日の間、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人分。対象は20歳~69差異の男女で調査エリアは関東と関西(関西500件・関東500件)。年齢階層比などの詳細な属性は非公開。

「お役所仕事」という言葉すらあるように、公共機関などの営業時間は概して短く、利用者のニーズとはずれが生じている場合が多い。学生や時間に余裕の取れる職種の人ならともかく、一般のサラリーマンは仕事時間中の9時~17時の間、足を運ぶことは事実上不可能。しかし多くの役所の場合、ほぼ同じ時間にしか営業をしておらず、有給休暇を取得して手続きしなければならない場合もしばしば発生する。「会社の行きがけや帰社途中に立ち寄れれば便利なのに」と考える人も多いだろう。

そのような不満を反映してか、「病院・医院」「銀行窓口」「市役所・区役所」の3機関において、現状の営業時間に「不満を持つ人」は3割を超える結果が出た。

「病院・医院」「銀行窓口」「市役所・区役所」の営業時間に関する満足度
「病院・医院」「銀行窓口」「市役所・区役所」の営業時間に関する満足度

特に「銀行窓口」「市役所・区役所」では「不満」が「満足」を上回る始末。いずれも利用頻度が高い機関なだけに、「もう少し長く営業していると便利なのだけど」という思いは強い。

次の調査項目、「開店・閉店それぞれに対する要望」を見ると、いずれも「開始時間」より「終了時間」を遅くしてほしいという意見が強い。会社や学校の帰りがけに立ち寄る、という状況を想定しているのだろう。

「病院・医院」「銀行窓口」「市役所・区役所」の開店・閉店時間に対する要望
「病院・医院」「銀行窓口」「市役所・区役所」の開店・閉店時間に対する要望

「不満」が「満足」を上回る2機関では特に、終了時間延長への要望が多数を占めている。最近では一部の銀行で17時まで営業しているところも出てきたが、大部分は15時までのまま。日中勤めている人に利用するタイミングはお昼休みくらいしかない。「もっと遅くまで営業してくれ」というニーズが多いのも納得。

それでは具体的には何時ぐらいに業務を終了すれば良いのか。先のコンビニ同様、80%の希望者を満たす時間を算出したのが次の結果。

80%の人が満足する各機関の開始・終了時間
80%の人が満足する各機関の開始・終了時間

救急患者を除けば一般の病院における外来受付が15時前後、銀行窓口業務がやはり15時、役場の窓口が17時くらいまでであることを考えると、80%の人を満足させるには相当な営業時間の延長が必要であることが分かる。


リリース本文でも指摘されているが、ATMのサービスへの制限が増えている関係で、利用者が本人確認を対面で行える窓口業務に誘導されるパターンが増えている。必然的に窓口は混み合い「現行の営業終了時間では並んだ時点で間に合わない」「行列や順番待ちの人数を見てあきらめる」という状況も増えている。「もっと遅くまで営業して欲しい」と考える人が多いのも納得のいく話だ。

一方、行政機関においては効率化が求められるのと同時に、開始・終了時間の拡大という、一見矛盾している要求が寄せられいることが分かる。しかし「効率化による経費削減」は「不必要な部分の削減」であり、「必要な部分のカット」とは別のもの。一律経費カットではなく、利用者の満足度をプラスするものであれば、むしろ増やす(例えば今件のような受付窓口の終了時間の延長など)くらいの柔軟性は必要だろう。

もちろん「何が必要で何が不必要か」という振り分けは、行政機関内部の事情ではなく、利用者の目で見て、立場で考える必要があることはいうまでもない。

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