6月ガソリン販売量、前年同月比マイナス8.9%~買い控えの影響か

2008年08月02日 12:00

8月1日時点の某所でのガソリン価格イメージ経済産業省は7月31日、石油関連の統計データの速報値「石油統計速報」の2008年6月分を発表した。それによると6月分のガソリン販売量は前年同月比で8.9%減の91.1%にまで落ち込んでいることが明らかになった。同時に在庫量も前年同月比で1割近く増加しており、ガソリン価格の高騰で消費者間に買い控えの傾向が強まっていることがうかがえる(【発表リリース】)。

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6月度のガソリン販売量は、440万1474キロリットル。これは前月比で95.4%、前年同月比で91.1%の計算になる。昨年のデータとあわせて、今年6月までのガソリン販売量推移を比べたのが次のグラフ。

2007年・2008年におけるガソリン販売量推移(1~6月)
2007年・2008年におけるガソリン販売量推移(1~6月)

例の暫定税率のあおりで4月の販売量が昨年より大幅に増えているが、それ以外は2月以降減少傾向にあるが分かる。

一方、ガソリンの在庫量は5月以降増加し、だぶつき気味にあるのが現状。

2007年・2008年におけるガソリン在庫量推移(1~6月)(製油所、石油製品製造業者販売部門及び輸入業者の合計)
2007年・2008年におけるガソリン在庫量推移(1~6月)(製油所、石油製品製造業者販売部門及び輸入業者の合計)

3月に在庫量が急増しているのは、4月の暫定税率の暫定撤廃で需要が急増するのを見越してのストックだったのかもしれない。また、1~2月はガソリン価格の上昇に伴う需要減を予見してやや少なめに在庫を確保していた現われと思えるが、5月以降はかえって在庫が増えてしまっている。これは(推測になるが)業者側の需給予想以上にガソリンの販売が冷え込み、結果として余剰在庫が大幅に増加したものと思われる。

最後に販売量と在庫量の前年同月比の推移をグラフ化したのが次の図。

ガソリン販売量・在庫量推移(前年同月比、2008年1月~6月)
ガソリン販売量・在庫量推移(前年同月比、2008年1月~6月)

暫定税率問題の4月による変動が間にはさまっているのでいびつな形になっているが、販売量は前年同月比マイナス、在庫量はプラスの傾向を見せつつあるのが分かる。今後さらに月日が経ちデータが集積されれば、この傾向がもっと顕著なものとなるだろう。


原油価格が「需給関係に基づいた」「正当な」価格に戻らない限り、ガソリン販売量の低下と在庫量のだぶつきの減少は続くものと思われる。実際、すでに7月、8月とガソリン価格の値上げが行われており、さらなる販売量低下が予想される。これはそのままガソリンスタンドなどの小売の経営への圧迫につながり、消費者はもちろん売り手にも頭の痛い状況は継続されることだろう。

今記事ではガソリン価格にスポットをあてたが、今回発表されたデータではガソリン以外の原油精製品のデータも公開されている。ガソリン以上に気に留まるのは【東京都内のガソリン・灯油価格をグラフ化してみる】でも危惧している灯油のデータ。販売量が前年同月比でマイナス10.2%と1割以上も低い値を示している。あまり暖房用として利用されることのない夏場だけあって、誤差も生じやすいのかもしれないが、市民生活においてはガソリン同様に身近にある原油精製品の販売量の落ち込みは、注目に値すると言及しておこう。

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