【更新】2008年7月度の外食産業の売上は前年同月比でプラス2.6%・早い梅雨明けが貢献

2008年08月26日 06:30

外食産業イメージ日本フードサービス協会は8月25日、協会会員会社を対象とした外食産業の市場動向調査における2008年7月度の調査結果を発表した。それによると総合売り上げは前年同月比でプラス2.6%となり、二か月ぶりに前年同月比プラスに転じた。前年よりも梅雨明けが早く、好天にも恵まれるなど、良好な気象状況が来客数に大きく影響したのが原因といえる([発表リリース])。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われたもので、対象数は事業者数が185、店舗数は29621店舗(既存店はそれぞれ178、25470)と、先月と比べて同様事業者数が大幅に減少している一方で店舗数は増加を続けている。経営統合が続く中、新規店舗ラッシュが続いている可能性がある。

全業態すべてを合わせた7月度売り上げ状況は、前年同月比で102.6%と前年同月を2.6%上回り、先月からプラスに転じることとなった。業態別では相変わらずファストフードが堅調で、めん類において著しいのも先月通り。めん類は店舗数も大幅に増加しており、静かな「めん類店舗ブーム」が訪れている感がある。また既存カテゴリには当てはまりにくい「その他」項目店舗の伸びが大きいのも先月からの傾向。客単価の伸び率はばらつきがあり、「その他」項目で大きく伸びている。目新しいスタイルの店舗で客を引き寄せ、高い料理を楽しんでもらおうという意向があるのかもしれない。また、和風は先月同様に客足がやや遠のいているのが気になるところ。

一方ファミリーレストラン部門の伸び率は全般的に今ひとつ。中華が一番健闘している図式は先月と同じで、天候が良好だったことから客数が確保でき、売上高でプラスを出すことが出来た。焼き肉部門が振るわず、商品単価を工夫するなどして客単価のかさ上げをするも、それ以上に客数が減ってしまい売上高が落ちているのも先月と同じ。

客数データ、しいては売上高は天候に左右されるところが多い。7月は梅雨明けが昨年と比べて早く、特に関東甲信越では昨年比で13日早まるなどで、来客数に大きく影響している。日取り関係では昨年に比べて日曜日が一日少なかったものの、雨日数が昨年の半分程度に収まるなどでその不利な部分をカバー。ひとえに「お天道様」に救われた形だ。

全店データ(既存店、新店合わせて)
全店データ(既存店、新店合わせて)

7月データにおいても6月に続き、ここ数か月来よく見られる「新築されためん類のお店が非常によく頑張っていることが分かる」という傾向が現れ(既存店データでは前年比マイナス)、ファストフード部門においては和風店の客数の減少分をもカバーする形が見える。ただし売上高の上昇分にほぼ肩を並べるほど店舗数が増大している傾向もあり、「粗製濫造」「供給過多」の一歩手前の可能性も否定できない。一過性のブームではなく、ゆるやかな成長過程であればよいのだが。

・天候良好で
客足増える。
・めん類店舗は
人気のおかげ?
供給過多??

食品価格の高騰は世界的な傾向として表れており、先物の規制や自粛活動など投機マネーの動向に変化がない限り、しばらくは継続しそうな雰囲気。特にガソリン価格の高騰で自動車の利用モチベーションが急激に下がっている今、外食産業には厳しい時代が続く。先日【デニーズが秋メニューで価格を最大2割前後値下げ・9月から】でも報じたように、デニーズでは大幅な価格引き下げをすることで集客力アップを狙うなど、大手ですらなりふり構わずさまざまなアイディアを実行に移し、売上の維持・アップを模索している。

原材料費の高騰による食品などの値上げやガソリン代の急騰などで、外食業界には厳しい環境が続いている。さらに「外食の料理」から「自炊で料理を」「せめて中食に」といった食事スタイルのシフトもネガティブ要因として挙げられる。7月は天候のおかげで客足も増え、売上も伸ばすことが出来たが、今後もケータイクーポンや折込チラシをはじめとした顧客の囲い込み戦略、品質の向上化によるアピールなど絶え間ない努力と創意工夫が求められよう。

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