高気温で季節商材堅調に…2008年7月度のチェーンストアの売上高、前年同月比+0.9%

2008年08月23日 12:00

【日本チェーンストア協会】は8月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年7月度における販売統計速報を発表した。それによると7月は気温が高かったことから季節商材の動きがよく、総販売額では前年同月を上回る結果が出た。その一方、消費者の生活防衛色の強まりもうかがわせるものとなっている(【発表リリース】)。

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今調査結果は協会加入の71社・8622店舗に対して行われている。店舗数は先月比で91店舗減、前年同月比で36店舗減。売り場面積は前年同月比96.5%と3.5%ほど減っている。企業数も減っていることから、業界からの脱落組の登場が全体的な店舗数などを減らしているのだろうか。

春先までの傾向としては「店舗数減少、売り場面積増加、従業員数増加」というパターンが続いていた。しかし景気の不透明感や業界の再構成の風潮がいよいよ本格化しているのを反映し、7月の統計データでは店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示している。特に従業員数が前年同月比で92.2%と大幅に減少していることから、人件費を大幅に減らしてコスト調整をしているのが見て取れる(それて売上高まで落ちては元も子もないのだが……)。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

■総販売額……1兆1282億8726万円
・食料品部門……構成比:60.6%(前年同月比101.8%、△1.8%)
・衣料品部門……構成比:12.4%(前年同月比98.3%、▲1.7%)
・住関品部門……構成比:20.5%(前年同月比99.9%、▲0.1%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比101.1%、△1.1%)
・その他…………構成比:6.2%(前年同月比100.7%、△10.7%)


天候良好で
関連商品が堅調。
食料品は大いに売れるも
衣料品などの減少は
相変わらず

7月は各地で平均気温が前年比プラスで推移し、降水量も平年比を大きく下回るなどスーパー・デパート的にはポジティブな材料が多かった。そのおかげで総販売額は4か月ぶりに前年同月を上回る好成績が出ている。暑さを反映して食品では飲料やアイスクリーム、衣料品では肌着や水着など、住関品ではエアコンや扇風機の売上が目立つ。また「土用の丑の日」のうなぎは国産品を中心に売れたが、中元ギフトは比較的安価な飲料・ビール・調味料に人気が集まる。その他各部門でも、消費者の「できるだけ安いもの」志向が強まり、価格に敏感となっているようすがうかがえるという。

また今回発表月では先月同様衣料品部門の不調が目立つ。レポートでは各種商品の代表項目が並んでいるが、先月より数は少ないものの「不調」の言葉が相次いでいる。住関品でも夏・暑さに関係するものの動きは見えるが、その他のアイテムの不調も多い。夏の暑さでも「衣料品」「住関品」を前年同月比プラスに押し上げるまでには至らなかったようだ。

先日発表された【コンビニの7月分統計データ】では、日本全土に波及したタスポ効果で来客数が増え、さらに「ついで買い」をした人も多く、来客数だけでなく客単価もアップしたという記録が出ている。食品のまとめ買い・安値買いが出来るスーパーやデパートは食品分野ではその長所を発揮しているものの、他の分野の落ち込みは厳しく、全体的にも厳しい経営環境が続いていることに変わりは無い。

7月は天候の良好さといういわば「神風」で何とか全体的な売上を前年同月比プラスにもっていけたデパート・スーパーだが、取り巻く環境そのもので継続的な何かの変化が見られるわけではない。デパート・スーパーだからこそできるもの、他の業種に出来ないもの、そしてキツくなったお客の財布のヒモを緩められるようなアイディアを早急に生み出す必要があるだろう。

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