非喫煙者は「健康問題」「他人への迷惑」・喫煙者は「高すぎ」「そもそも論」……「たばこ1000円論」に対する印象の違い

2008年08月16日 12:00

喫煙イメージ人材派遣会社の【パソナ(2168)】は8月13日、「たばこを1箱1000円に引き上げる提言」を中心に、若年層におけるたばこ増税と喫煙に関する意識調査の結果を発表した。それによると、たばこの価格を1箱1000円とする案について、非喫煙者は過半数が賛成し、逆に喫煙者は過半数が反対していることが明らかになった。それぞれの理由を見ると、非喫煙者は「健康問題」や「周辺への迷惑」、喫煙者は「1000円では高すぎ」「そもそもこの論議そのものがおかしい」など、単純に価格の釣り上げ以上の問題が内包されていることが分かる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は7月18日から31日までの間、インターネット経由(112件)・該当調査(100件)で収集されたもので、男女比は57.1対42.9。年齢階層比は20歳未満が17.5%、20代が50.0%、30歳代以上が32.1%。職業構成比は学生41.5%、正社員23.1%、アルバイト10.4%。なお母数が少なめで、特に「喫煙者の対象者」が67人と少数でしかなく、他の類似調査と比較して「ぶれ」が多分に生じている可能性があることをここに記しておく。

たばこ税の引き上げによるたばこの「1箱1000円」への値上げについて喫煙経験の有無別に尋ねた結果は次の通り。値上げによるプラス要素が多い非喫煙者は賛成多数、マイナス要素が多い喫煙者は反対が多いという、ある意味当たり前の結果が出ている。

「たばこ1箱1000円」への賛否
「たばこ1箱1000円」への賛否

ただし喫煙者が全員「値上げ反対」、非喫煙者が全員「値上げ賛成」というわけではない。非喫煙者だが値上げ反対、喫煙者だが値上げ賛成という意見の人もそれぞれ1割前後いる。そして、「どちらともいえない」という気の迷いが見られる人も2割いることなど、喫煙者・非喫煙者それぞれが皆固い意志を持っているわけではないことがうかがえる。

一方で、以前喫煙していたが今は禁煙しているという、いわば「喫煙者・非喫煙者両方の気持ちが分かる」人は他の階層より「どちらともいえない」の割合が少なく、意見がはっきりしているのが分かる。賛成5割強、条件付賛成1割強、反対2割、不明1割。実のところこの意見こそが総意なのかもしれない。

賛成派・反対派それぞれ(ここでは喫煙・非喫煙の別を問わない)に、その理由を尋ねたところ、賛成派は「喫煙によるデメリット」を前面に押し出す一方、反対派は「高すぎる」「不公平」「無駄使いを最初に止めろ」など、「たばこ1箱1000円」論そのものやシステム部分に問題提議をする意見が多かった。

「たばこ1箱1000円」に対する賛成・反対意見の理由
「たばこ1箱1000円」に対する賛成・反対意見の理由
賛成派は「喫煙によるデメリット」
反対派は「そもそも論」「仕組み」への反発

反対派に「喫煙によるデメリット」に関わる意見、賛成派に「仕組みそのもの」への意見がほとんど見られず、両派間に考え方のベクトルレベルで差異が生じていることが分かる。これではいくら論議を交わしても、両者とも納得がいくような答えが導き出せるはずはない(メートル定規と尺定規で同じものを測り、それぞれの結果を提示しているようなもの)。


反対派から「喫煙によるデメリット」、賛成派から「仕組みそのもの」に関する言及があまりないということは、それらの要素に対して引け目を感じていると考えることができる。反対派にとって「たばこは健康に良いから値上げ反対」、賛成派は「1000円だって安いもの」「税金など無駄使いされていない」「喫煙者だけの事実上増税は不公平ではない」とはとても口に出せず、その点を自論の反対勢力につかれると弱いことを意味する。

この「ウィークポイント」をうまく説明し、納得できるような回答が導き出されれば、賛成派も反対派も自論をさらに声高に世間へ主張でき、より多くの賛同を得ることができるだろう。……もっとも現実的に、どちらとも無理そうな話ではあるが。

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