新聞の発行部数などをグラフ化してみる

2008年07月26日 12:00

新聞イメージ先に【毎日400万部割れ・朝日も6万部減……主要新聞の状況を垣間見る】で新聞社の動向を検索していた際に参考にした「新聞広告データアーカイブ」。実はこのページ、【社団法人 日本新聞協会】の1コンテンツなのだが、その公式サイトで同協会調査の興味深いデータを見つけることが出来た。2007年までの新聞の発行部数と世帯数の推移がそれで、一般紙とスポーツ紙に分けられてデータ化されている。数字の羅列で状況を把握しにくいこともあり、グラフ化してみることにした(【該当ページ】)。

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まずは新聞そのものの発行部数の推移。1997年から2007年に至るまでの年間ベースでの発行部数がデータ化されている。ちなみに朝刊と夕刊を共に取っている家庭においてはそれを「1部」として換算しているとのこと。

新聞発行部数(一般紙+スポーツ紙)
新聞発行部数(一般紙+スポーツ紙)

2001年~2002年を境に、少しずつ数を減らしているのが分かる。ちなみに一般紙において、1997年から2007年の間に減少した部数は約174万部。3.2%ほど

世間一般では一般紙の凋落が話題となっているが、実はスポーツ紙の方が減少スピードが速い。上記グラフでもそれが何となく分かるだろうが、スポーツ紙発行部数だけを抽出してグラフを再構成するとさらに良く分かる。

スポーツ紙発行部数
スポーツ紙発行部数
スポーツ紙は急速に減少。
10年間で2割強の部数減

1997年から2007年の間に減少した部数は約144万部(先のグラフとは縦軸のスケールが違うことに注意)。実に22.1%に達している。統廃合もあっただろうが、それにしても10年間で2割強というのは急激過ぎる。

最後に各年の住民基本台帳を元に世帯数を割り出し、新聞発行部数と比して「1世帯あたりの新聞部数」を算出したのが次のグラフ。

1世帯あたりの新聞部数
1世帯あたりの新聞部数

1世帯で複数の新聞をとっているところもあるだろうし、通勤時に読むために一般紙とスポーツ紙を別々に取る人もいるだろう。しかしライフスタイルの変化からか、世帯あたりの新聞部数は着実に減少を続け、今や1世帯につき約1部まで落ち込んでいる。このままのペースではあと数年もすれば「1世帯あたりの新聞部数が1を割り込む」のもそう遠くはない。


一般紙・スポーツ紙の減少という傾向は2001年前後から顕著に見えている。これは【伸びる光ファイバー回線、少しずつとって代わられるADSL】でも触れているように、ADSL回線の普及がはじまり「ブロードバンド環境によるインターネットの普及」が加速化した時期とも一致する。特にスピードとビジュアルが求められる内容が多い(芸能・スポーツ)スポーツ紙が、即時リアルタイム・フルカラーで配信されうるインターネットにおかぶを奪われるのは仕方のないところだろう。

新聞部数の減少原因は
インターネットだけに
限らない?

一方、「一世帯あたりの部数」を見ると、ブロードバンド化以前から世帯部数が減少しているのが分かる。世帯数が増加しているのも大きな要因で、少子化・核家族化で世代間のギャップに配慮し複数の新聞を取る必要が減じた(例えば同居している祖父母は一般紙、世帯主はスポーツ紙など)などの理由も考えられるが、すでにブロードバンド云々以前に新聞離れ現象が生じていた可能性もある。

利便性を考えれば新聞が無くなることは絶対にありえない。しかし直近10年間に見られたような減少傾向は、ここしばらくは続くことだろう。世代間のニーズの変化も考慮に入れると、新聞離れのスピードは今後ますます加速するものと思われる。そのような現状を認識し、新聞が「変われるか」否か、読者ひとりひとりがしっかりと見極めたいものだ。

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