世界の主要放送・メディア事業者の売上高をグラフ化してみる

2008年07月23日 12:00

テレビイメージ総務省が7月12日に発表した2008年度版の情報通信白書内の「世界の情報通信市場における我が国企業のプレゼンス」の項目において、日本と世界の主要放送・メディア事業者の売上高を比較したデータがある。2006年度のもので現状とは多少の差異はあるものの、日本の放送メディアの立ち位置や規模がある程度把握できるものといえよう(【発表ページ】)。

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同データでは放送関連事業の売上高と、放送関連以外の売上高、そしてその合計が記述されている。まずは日本の主要5局のデータをグラフ化したのが次の図。

日本主要5局の売上高(2006年)
日本主要5局の売上高(2006年)

ちなみになぜこの5局かの理由は不明。恐らくは取得できたデータがたまたまこの5局だったのだろう。「情報通信白書」には説明はないものの、この5局が選ばれたのはこれらが民放放送局の系列ネットワークの中心たる「キー局」「主要局」であるからかと思われる。

このグラフだけを見ると「日本の放送局もなかなかやるな。あれだけ強硬で横柄な威厳のある態度を取るだけの実績は持っている」と思う人も多いだろう。その上で、「世界の」主要メディア・放送事業者の主要データを反映させた、同等の図を見てほしい。

世界の主要放送/メディア事業者の売上高(2006年度)
世界の主要放送/メディア事業者の売上高(2006年度)

元資料の分析にもあるように、欧米のメディアサービスはテレビ局単体、主体というスタイルというより、メディアコングロマリットとして存在しており、大きな売上高をあげている。また、放送関連事業のみに限っても、巨大なアメリカ市場で展開しているアメリカ企業の売上が大きいことが分かる。

さらに世界のランキングで上位にある企業の少なからぬ数の名前は日本でもよく耳にすることから分かるように、多くの事業者は国際展開にも積極的。タイムワーナーやウォルトディズニーの名前を聞いたことがない人はいないだろうし、リバティ・グローバル社は日本では最大のケーブル事業者のジュピターテレコムにおける連結親会社としても知られている。

あれだけ大いに我が世の春を歌っている放送事業体も、世界の規模と比べれば大人と子ども、数社が手を結んでも大手一社にもかなわないほどの規模でしかないことが分かるだろう。


日本の放送メディアが海外に進出する話を時々見聞きすることはあるが、それらはあくまでも「特異な例」だからということに過ぎない。海外の事業体のように、日本の各放送局・メディアが「外」に目を向けていないのは明らかだが、その原因が現状に満足しているからなのか、あるいは海外に進出する交渉術などのスキルがないのか、何か不足しているものがあるのかは不明。だが、動画共有サイトにおける日本関連の動画の人気度を見る限りにおいては、(昨今の多くの廉価的・退廃的なコンテンツはともかく)海外に進出するだけの可能性はあると思われる。

「内弁慶」で「井の中の蛙」に満足しているのならそれはそれで結構なお話。しかし据え置き型パーソナルコンピューター自身や搭載OSのように、気がついたら足元をすくわれていた、ということになってしまう可能性はないとはいえない。技術革新のスピードが加速化され、メディア業界の再編時期にさしかかっていることもあり、放送業界・メディア事業体内部で色々なごたごたを耳にする。が、グラフを見るにつけ、そんなことをしている場合ではないような気がするのは当方だけだろうか。

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