アニメセクター銘柄の決算を比較してみる

2008年07月21日 12:00

株式イメージ先に【バンダイナムコホールディングスの株主総会出席レポート】【バンダイナムコホールディングス(7832)】の株主総会の出席体験談を掲載したからか、時々アニメやゲーム系の企業に関する問い合わせや要望が舞い込んで来る。昔はともかく今はその業界内にいるわけではなく、関連企業の株式をまとめて買い集めて総会に片っ端から出るほど財力があるわけでもない(夢ではあるが……)。たいていにおいて望みに答えることはできないのだが、ここで改めて考え直してみた。「なぜ自分(不破)はアニメ系企業に目が向かないのか」。

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そこでとりあえず、以前アニメセクター銘柄をリストアップした【アニメセクター銘柄を集めてみる】を元に、直近の決算データをまとめてみることにした。

主要アニメ関連銘柄の直近決算データ
主要アニメ関連銘柄の直近決算データ

注意事項をいくつか。まずこれらの企業はあくまでも「関連」であって、アニメ「専業」ではない。アニメそのものが堅調でも他の事業でコケている場合もあるし、逆もまたありうる。次いで、企業毎に決算期が異なるため、最大で一年近くの差異が生じている。例えば【創通(3711)】は最終決算期が2007年8月のため、データは約一年前のものになる(もっとも創通の場合、直近の四半期決算を見ると2007年8月期よりも調子はよさそう)。

さらに「純利益」周りの部分は注意して見る必要がある。前期比が「*」となっているのは当期純利益がマイナスだった場合、あるいは前期がマイナスで比較が出来ない場合をあらわしている。また昨今の株価低迷と会計制度の変更で、手持ち資産の減損処理をしたために「事業は堅調なものの評価損で大きく利益を削られ、最終的に純利益がマイナス」となった企業がいくつかある。単純に本業、あるいはアニメそのものがうまくいかなかったとは言い切れない。

本来なら「純利益ではなく営業利益を掲示するべきでは」という意見もあるが、企業の評価はあくまでも最終的に「どれだけの利益を上げられる」かが最優先事項。本業の堅調さも必要不可欠だが、他の部分で損失を出し、最終的に利益が上がらないのでは何の意味もない。

そして今表では営業利益の代わりに「売上高営業利益率」を掲載している。これは売上のうちどれほどが利益につながったか、という指標。この値が高いほど、効率の良い事業(本業)をしていることになる。

この表で比べて見ると、「売上」「純利益」が堅調に推移し、「売上高営業利益率」も悪くない企業は【東北新社(2329)】【プロダクション・アイジー(現IGポート)(3791)】、「売上」の伸び率がやや小さいがそれに目をつぶるとバンダイナムコと創通が加わる。

売上高前期比・純利益前期比・売上高営業利益率のみの表。純利益がマイナスを示している企業は赤で名前を囲ってある
売上高前期比・純利益前期比・売上高営業利益率のみの表。純利益がマイナスを示している企業は赤で名前を囲ってある

上記に挙げた4社とそれ以外では、企業規模の差という観点以外の差異が見て取れるだろうか。

最後にさらに「売上高営業利益率」のみを抽出してみる。正直、ゲームやアニメなどの娯楽部門では他の部門以上に「あたりはずれ」による業績の変動が大きい。一会計年度のデータだけですべてを推し量るのは無理があるが、あくまでも指針の一つとしてみて欲しい。なお、かのウォーレン・バフェット氏も売上高営業利益率などにも注目しているのは有名な話(もちろんブランドや競争力など他の要素とかね合わせて、という意味だが)。

直近の決算データをもとにした売上高営業利益率
直近の決算データをもとにした売上高営業利益率

さて話を最初に戻して。なぜ当方(不破)はアニメ系企業に目が向かないのかをチェックし直して。上記のデータを眺めてみれば、そこそこ良い値を示している企業もいくつか見受けられる。しかしデータを見直してみても、それほど魅力を感じることができない。これらのデータ以外の面で理由を考え直してみると、「配当利回り」「作品のヒット・不発によるぶれの大きさ」があるという結論に達することができた。

特に「作品のヒット・不発によるぶれの大きさ」はアニメ業界に精通していないと、予想が立てにくい。当方は残念ながら(?)細かい分析が出来るほどアニメ作品・業界「全般」に通じているわけではない。ましてや提供企業の業績に影響が及びうる作品のヒットを予想できるはずもない。

「よく分からない、自分で説明できない企業には手を出すな」。これが「投資」の原則。その観点で考えれば、当方自身がアニメ系企業に興味が沸かないのも、何となく分かる気がする。

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