運動すると「がん」になりにくいでござるの巻

2008年07月12日 12:00

運動イメージ厚生労働省研究班による多目的コホート(JPHC)研究班は7月10日、普段の身体活動量と全部位・主要部位別にみたがん罹患(がんを発症する)の関係において、「運動をよくする人はがんにかかりにくい傾向がある」という相関関係が見られることを明らかにした。がん全体における罹患率で見ると、男性では13%、女性では16%のがんリスク軽減が見られたという(【発表リリース】)。

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今調査は岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所管内に住んでいた人のうち、1995年と1998年にアンケート調査に回答した45~74歳の男女約8万人を、2004年まで追跡し行われた。有効回答数は男性3万7898人、女性4万1873人、計7万9771人。

身体活動量は1日の平均的身体活動時間を「筋肉労働や激しいスポーツをしている時間」「座っている時間」「歩いたり立ったりしている時間」「睡眠時間」に部類し、それぞれの時間に該当する運動強度指数MET値をかけてスコア化し、合計。一人一人の運動量を求めて4郡(LSTH、Lほど少なくHほど多い)に分けた。

男女別・各部位別・運動量別のハザード比(Lを1とした場合のがん罹患率)
男女別・各部位別・運動量別のハザード比(Lを1とした場合のがん罹患率)

結果、男女とも全部のがんをあわせたがん発症においては「運動をするほど発症しにくい」という傾向が見られている。また部位別では、男性では結腸がん・肝がん・膵がんで、女性では胃がんで、もっとも多く運動している群で、有意に罹患リスクが低下していた。さらに赤い丸で囲った部位(男性では結腸がん・膵がん、女性では胃がん)では、4郡の運動量の増加に従い罹患率も下がるという傾向性すら見て取れた。

運動イメージさらに「運動量が少ないグループは元々体調が悪く、運動が出来なかったかもしれない。その場合、運動量の少なさとではなく、体調の悪さとのがん罹患率の関係性による結果とも思われる」ことを考慮し、研究開始から3年以内にがんになった人を除いて分析してみたが、結果はほぼ変わらなかったという。

「運動量が多いとがんにかかるリスクが減る」という調査結果について研究グループでは、「理由が解明されているわけではない」としつつ、「肥満の改善をはじめ、性ホルモンやインスリン・インスリン様成長因子(IGF-1)の調節、免疫調節能の改善、フリーラジカル産生の抑制」「身体活動によるマクロファージやナチュラルキラー細胞、好中球やサイトカインの調節など、免疫調節能の改善」「運動により腸管の通過時間が短縮し、胆汁の内容や分泌に良い影響を与えるから」などを可能性としてあげている。

そしてリスクが減る理由はともあれ、「自身の生活の中で可能な方法により、よく動く時間を増やしていくことが、がんの予防につながる」とし、無茶な運動ではなく、身近なところからはじめるべきだと勧めている。

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