「あんたの家は207円」20年間で価値が2万分の1になった住宅

2008年07月11日 06:30

岸壁の家イメージアメリカに端を発したサブプライムローンに代表される住宅価格の下落問題。実はアメリカや日本以上にヨーロッパ、特にイギリスにおいて深刻で、二割三割引きどころか半額が当たり前という状況が進行している。そのイギリスで、わずか20年の間に価格が2万ポンド(414万円)から1ポンド(207円)へと価格が2万分の1に下落した住宅が現れた。とりたてて「住宅そのもの」が破損したり、幽霊が出るという噂があるわけではないのだが……(【元記事:MailOnline】)。

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問題の「20年間で2万分の1」に下落した住宅(矢印の先)
問題の「20年間で2万分の1」に下落した住宅(矢印の先)

減価償却にもほどがある、というつっこみをしたくもなるが、写真と説明を見ればそれも納得がいく。3つのベッドルームを持つそれなりに大きな住宅の持ち主Jane ArcherとChris Cuttingは1987年に、NorfolkのHappisburghに位置するこの住宅を2万ポンドで購入した。その当時、住宅は海からおよそ500ヤード(457メートル)離れた場所にあったという。しかし今現在、その住宅は高さ80フィート(24メートル)の断崖絶壁からわずか65ヤード(60メートル)しか離れていない。そう、大規模な海岸線の侵食によって「そう遠くないうちにこの家も削り取られてしまうだろう」という予想が容易に出来てしまうからこその価格なのである。

二人は自動車修理のビジネスを始めるためにこの家の一部を担保に入れ、お金を借りようとした。二人は「大体8万ポンドくらいの価値はあるかな」と思っていたが、不動産鑑定士はこれを拒否。海岸線の侵食で将来性がまったくないと判断し、「あんたの家は1ポンド」と判定を下した次第。

鑑定士による判定書類(赤丸は当方で追加)。「Is a Reinspection necessary?」とは「再鑑定の必要はあるか」とのこと。「No(必要なし)」の言葉がむなしく写る。
鑑定士による判定書類(赤丸は当方で追加)。「Is a Reinspection necessary?」とは「再鑑定の必要はあるか」とのこと。「No(必要なし)」の言葉がむなしく写る。

この村の人たちは政府に対し「すでにうちの村では20以上の住宅が海に飲み込まれている。住宅の補償をするか、防波堤などで侵食を防ぐ工事をしてほしい」と陳情を続けている。しかし環境大臣をはじめとした当局側は「2008年から2009年の間に6.5億ポンド(1350億円)を費やしているが、イギリス全体の海岸線を工事して対処を施すのは財務上不可能だ」と実情を説明するにとどまり、彼女らの要望に応えることはなかったという。

彼女はインタビューに次のように答えている。

「自分たちの家がパン一斤より価値がないだなんでショックだわ」
(It is shocking that our family home is now worth less than a loaf of bread.) 「内陸部分にあるのなら18万ポンドの価値はあったでしょうに」
(If it was inland it would probably be worth £180,000)


確かに、自分の家がパン一斤より価値がないと言われれば、ショックどころではないだろう。サブプライムローン問題などどこぞにぶっ飛んでしまうほどのお話だ。心中お察し申し上げます。

ちなみにこの「1ポンドの住宅」だが、GoogleMapでその姿を確認できる。


大きな地図で見る
問題の「1ポンドの住宅」

【直接のリンクはこちら】元記事の写真と上下が逆になっているので分かりにくいが、海岸手前にあるUの字型の二件つながりの家を目印としてとらえれば把握できるだろう。

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