国産原油の産出量をグラフ化してみる

2008年06月25日 12:00

石油タンカーイメージ先に【石油についてもっとよく知るために・新日本石油の「石油便覧」】で紹介した、【新日本石油(5001)】提供の原油・石油関係のデータベース【石油便覧】。原油周りの実情を知るには非常に役立つ資料なのだが、なにぶんにも「数字」だけで構成されていて、印象的な状況の把握がしにくい。そこで先の記事でも触れたように、今後気になるデータ・必要と思われるデータを逐次ビジュアル化することにする。今回は国産・海外輸入産の原油推移と比率について。

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日本では石油(原油)消費量のほぼすべてを輸入に頼っている、という事実は何となく誰でも分かっているはず。しかしその一方で、少量ながら国産でも原油は産出している。その産出量の推移が次のグラフ。ちなみにデータは(今後のも含め)1970年~2006年のものだが、1970年から1980年は5年おきのものしかない。年の軸が多少ゆがんだ形になるがご了承を。

国産原油生産量推移
国産原油生産量推移

年間平均で約740×1000×キロリットル。つまり7億4000万リットル。仮に自動車1台あたりの満タン量を50リットル、原油から精製されるガソリンの割合を3割とすると、500万台の自動車を満タンにさせるだけの量が産出されることになる(※正確には原油からガソリン・重油などさまざまな石油派生物を精製する際において、原油の種類によって精製比率が異なるので一概には言えない)。

ちなみに2004年のデータでは、国産産出量トップを行くのは北海道の勇払油田で年間23万7000リットル。第二位が新潟の岩船沖で16万リットル。以下、日本海北部地方が続く。これだけを見ると「なんだ、結構国産でも生産できるじゃないか」という印象があるかもしれない。

しかし次のグラフを見ると、厳しい現実を突きつけられることになる。各年の原油輸入量と国産原油生産量を「同じ縦軸で」グラフ化してみる。

各年の原油輸入量と国産原油生産量
各年の原油輸入量と国産原油生産量

……国産原油産出量の棒部分が見えません。横軸の下の部分を目を凝らしてみると、わずかに0の部分から盛り上がっているところが見えるが、これが「国産原油産出量」分。いかに多量の原油を輸入しているか、そして国産原油量だけではまったく足りないかが分かる。

一応分かりやすくするために、国産原油が原油全体の量に占める割合を折れ線グラフにして重ねてみる。

各年の原油輸入量と国産原油生産量、国産原油の占める割合
各年の原油輸入量と国産原油生産量、国産原油の占める割合

1980年代にやや落ち込んでいるように見えるが、その後はそれなりに増産を重ねているため、比率も少しずつ上昇をしているのが分かる。しかしそれでも割合側の縦軸は「0.05%刻み」でしかないことに注意してほしい。最新のデータである2006年でも、原油全体に占める国産原油の比率は0.4%(正確には0.38%)。逆にいえば原油の99.6%を輸入に頼っていることになる。

輸入量99.6%がどれくらいのものなのか。ビジュアル化してみることにする。2006年の原油使用量全体を2リットルのペットボトル1本分にすると、国産原油量は8ミリリットルに過ぎない。目薬1つが15ミリリットル前後なので、その半分程度。

年間原油使用量を2リットルサイズのペットボトルに例えると、国産原油はわずか目薬半分程度にしか過ぎない。
年間原油使用量を2リットルサイズのペットボトルに例えると、国産原油はわずか目薬半分程度にしか過ぎない。

いかに現在の日本が輸入原油に頼っているかが分かるだろう。


原油・石油を大量に消費するという社会構造は一朝一夕で変えられるものではない。単に消費するだけでなく、商品を製造してその商品を輸出する製造スタイルをとる企業も多い以上、燃料としてだけでなく原材料としても使われる原油・石油は必要不可欠なもの。昔ながらの言い回しなら「油の一滴は血の一滴」ということになる。

しかしそのような社会構造は、現状のように輸入原油価格が高騰すると、社会全体において支出の大規模な増加を迫られることになる。また、原油は地面に埋まっているものなので、足元に無ければ資源として掘り出すことができず、日本ではあまり恵まれていないのが現状。

リスク分散という観点で見ると、そして現状でその「リスク」をこうむっていることを考えると、「原油」に頼り切ることの難しさと危うさが、「2リットルのペットボトルに対して目薬半分」という現状から改めて理解できるに違いない。

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