マツダ、食糧の需給に影響を与えないバイオプラスチックの技術開発に着手

2008年06月14日 12:00

研究開発イメージ【マツダ(7261)】は6月13日、広島大学と共に食糧と競合しないセルロース系バイオマスを原料としたバイオプラスチック技術の開発を行う「マツダ・バイオプラスチック・プロジェクト」に着手したと発表した。2013年までに自動車への実用化を目指すとのこと(【発表リリース】)。

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「バイオマス」とは元々「生物資源の量」を意味するもので、エネルギー源として利用できる動植物系の対象から生まれた有機系(生物が作り出す化学物質)資源のことを指す。石炭や石油などの化石資源と比較されることが多い。「バイオマス」といえば昨今では「バイオエタノール」をよく耳にするが、これは食べ物であるとうもろこしが原材料のため、食糧と競合してしまう(≒食糧価格の高騰を招いている)ことが問題視されている。

今回技術開発の対象となったバイオプラスチックは、やはりバイオマスを使うものの、間伐材や稲わらなど食糧として適さないものを原料とするセルロース系バイオマスを使用するため、食糧と競合しないという利点がある。また、セルロース系バイオマスは植物由来のカーボンニュートラル(成長過程で吸収した二酸化炭素を燃焼時に再放出しているだけなので、大気中の二酸化炭素には影響を与えないという考え方)な資源であり、有限資源である化石燃料の使用量および二酸化炭素の排出量を減らすことができる。

わらイメージマツダではまずセルロース系バイオマスからバイオエタノールを製造。そこから自動車用プラスチックストして多用されるポリプロピレンを作る技術・仕組みを開発し、そのポリプロピレンをさらにバンパーやインパネにも使えるスペックを持つだけの材料にする技術開発も進めていく。さらに「作れるかどうか」だけでなく「コストパフォーマンス的に割があうのか」「環境への負荷は大丈夫か」などの検証も進めていくという。

マツダは、以前からバイオマス領域での技術開発に積極的に取り組んでおり、これまでに業界初の高耐熱・高強度なバイオプラスチックの開発や、世界初の植物由来100%の繊維からなる自動車用シート表皮の開発に成功している。今回の全般的な素材に利用可能なバイオプラスチックの技術開発も、過去の経験を活かしたものとなるだろう。

プラスチックの原材料となる原油価格が高騰を続ける中、商品価格を抑えるためには「より安い」素材の開発が必要不可欠となる。また、間伐材や稲わらの活用は、昨今問題視されている「燃料と人間の胃袋が食料を奪い合う」という妙な構造への解決策の一つにもなりうる(あまりモノを使えばよいわけだから)。今件のマツダの開発技術が、マツダ車の部品に使われることにとどまらず、幅広い分野に応用が効くような成果を生み出すことに期待したい。

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