原作、DVD、キャラグッズ……アニメがもたらす波及市場

2008年06月26日 12:00

キャラクターグッズイメージインターネット調査会社のマイボイスコムが6月23日までに発表した調査結果によると、劇場公開作品やオリジナルビデオアニメーション、レンタルでの視聴も含めたアニメーションを見ている人のうち、3割強の人が「原作の漫画や小説などを購入した経験がある」と答えていることが明らかになった。また(恐らくはテレビ版の)アニメを見たことで感化され、DVDやビデオをレンタルした人も3割近くに登っている。その他キャラクターグッズの購入をはじめ、アニメーションの展開が多種多様な市場を形成しているようすがうかがえるデータを見ることができる(【発表リリース】)。

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今調査は6月1日から5日までの間にインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1万4060人、男女比は46対54、年齢階層は30代がもっとも多く38%、ついで40代29%、50代の16%など。調査母体全体のうちアニメを現在見ている人は65.9%という結果が出ている。

現在アニメを見ている人以外に「過去にアニメを見たことがある人」も含め、アニメ作品を見て何らかの形で感化され、関連した商品や利用したサービスがあるかどうかについて複数回答でたずねた。もっとも多かったのが「原作マンガ・小説などを購入した」の選択肢で、33.2%という回答が得られた。

アニメ作品を見て何らかの形で感化され、関連した商品や利用したサービスがあるか
アニメ作品を見て何らかの形で感化され、関連した商品や利用したサービスがあるか

次いで「DVD・ビデオをレンタルした」が29.6%。ここまでが「3割層」でかなりの人が経験している層、ということになる。

第三位以降はやや得票数が下がるが、「キャラクターグッズの購入」「DVD・ビデオ化されたものの購入」「主題歌・挿入歌、タイアップ曲、サウンドトラックの購入」「主題歌・挿入歌などをカラオケで歌う」「ゲームの購入」までが10%台で、一つの「層」を構成している。以下はこまごまとした回答が続いている。

得票の群・層毎に「関連商品・サービスの利用」を抽出しなおすと、次のようになる。

●3割層……かなりの人が実践している
・「原作マンガ・小説などを購入した」
・「DVD・ビデオをレンタルした」

●1割~2割層……それなりの人が実践している
・「キャラクターグッズの購入」
・「DVD・ビデオ化されたものの購入」
・「主題歌・挿入歌、タイアップ曲、サウンドトラックの購入」
・「主題歌・挿入歌などをカラオケで歌う」
・「ゲームの購入」


このようにリスト化すると、対象作品への造詣や興味関心が深い人(要は「マニアな人」)が行いそうな行動ほど、実践割合が減っているのが分かる。

コア層のファン行動ほど
費用がかかる傾向

また、比較的ライトなファン層は「DVD・ビデオのレンタル」で済ませているのに対し、マニア層の「1割~2割層」になると「購入」に至るなど、マニア層が行いそうな行動ほど経費がかかるようだ(逆にいえばライトファンはできるだけ出費を抑えようとしている)。要は「どこまで出費に耐えられるかの許容量の違い」がそのまま傾倒度と連動しているのだろう。

表上にある「1割以下の実践者がいる」選択肢として挙げられている項目まであわせてみると、パチンコ、テーマパーク、オリジナルCD、専門雑誌、イベントへの参加、ファンクラブへの加入、サークル活動への参加など、実に多種多様な方面に影響を与えているのが分かる。

ファン行動のピラミッド化
ファン行動のピラミッド化

一つのアニメ作品の登場で、まるで池に投げられた石の波紋が周囲に広がるかのように、ここまで多くの分野・市場に効果を与えていることが改めて認識できよう。

アニメ作品一つに対し、このような多種多様の派生商品(昔風に表現すれば「マルチメディア展開」)が行われ、ファンがその「忠誠心=傾注度」に合った購買を行うことになる。もともとのアニメのファン数が多ければ、各層の人数も増えるから、アニメのヒットはその作品自身の興行成績に比例してどころか累乗的な「成果」を生み出すことになる。ヒットを目指してそれこそ毎日のように新作アニメが登場するのも分かる気がする。


アニメに感化されたイメージアニメ作品に感化された行動においては、その内容がコアなものになればなるほど経費が跳ね上がる傾向にある。もちろん大きな額を消費してもらったほうが企業側もありがたいため、コア層の底上げとニーズの充足には躍起となる。先に当方が株主総会に参加した【バンダイナムコホールディングス(7832)】でも、「大きな子ども」こと青年層以上のファン向けに専用の部局を設けて対応にあたるなど、「より財布の中身が頼もしい層への対応にも重点を置く」傾向が見られるなど、関連企業でもさまざまな手を打っているようだ。

一方で「アニメを見ても特に何も買わないし行動しない」という、特に感化されないという人も35.5%と4割近くに達している。コア層への手当てを手厚くするのと共に、「特に無い」層を「ちょっと好きな3割層」に押し上げるような、仕組みや工夫も考えるべきだろう。

もちろん「関連商品やサービスの展開」を一義的にとらえ、作品そのものの内容や質をおろそかにしたのでは本末転倒。消費者もその「あざとさ」に気づき、そのアニメの支持層そのものを減らす結果になるだろう。アニメはあくまでも作品自身がメインにして大黒柱なのであり、関連商品を売るための「セールスプロモーション用のツール」ではないのだから。


■関連記事:
【バンダイナムコホールディングスの株主総会出席レポート】

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