デジタル広告出稿比率は全体の9%、特にケータイ広告は「口コミが期待でき、安くて使いやすい」

2008年06月04日 08:00

モバイルイメージ日経広告研究所、日経メディアラボ、株式会社ディーツー コミュニケーションズは6月2日、携帯電話を利用したモバイル広告に関する企業の利用動向調査結果を発表した。それによると、2007年度におけるデジタル系広告の広告費比率は全広告費の9.0%に達し、2005年度の5.3%から約70%増しにまで増加していることが明らかになった。また、モバイル広告を出稿している企業の割合は特に高く2割近くをデジタル広告に費やしている。さらにモバイル広告については「口コミ効果」や「効果の掌握がすぐにできる」などケータイならではのメリットが特に高く評価される傾向にあるようだ(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は日経広告研究所の調査データ「有力企業の広告宣伝費」の上位企業1500社を対象に、2008年2月18日から3月18日にかけて行われたもので、うち218社が回答した。回収率は14.5%。母数がやや少なめのため、実情とは多少のぶれが生じている可能性を考慮した上でデータを見る必要がある。

2005年度から直近の2007年度における、広告出稿費用全体における各メディア向け配分は次の通り。

2007年度における広告費の各媒体への配分
2007年度における広告費の各媒体への配分
3年で
デジタル広告の
費用は
1.7倍に増加

4大メディアと呼ばれる「新聞」「テレビ」「雑誌」「ラジオ」の広告費はきわめて高く7割前後を維持しているが、全体としてはやや横ばいの傾向にある。一方でインターネットや携帯電話などデジタルメディアへの広告費は(元々少なかったせいもあるが)伸びが著しく、2005年度の5.3%から2007年度には9.0%にまで伸びている。「その他」分野が大きく削られ、その分がデジタル広告にまわされた形だ。

さらにモバイル広告・インターネット広告に出稿した経験のある企業に限ると(母数が少ないため多分のぶれが生じている可能性はあるが)、デジタル広告への出稿比率はさらに高くなる。とりわけモバイル広告出稿企業の「デジタル広告費用は19.9%」という値は注目すべき数字。新聞や雑誌の比率を抜き、最大比率のテレビに迫る勢いである。逆に考えれば「全体では」デジタルメディアへの広告展開をしていない企業が相当数存在することでもあるが。

3年間で7割も伸びたデジタル広告の中でも特に今回注目されているモバイル広告について、その利点をたずねたところ、「ターゲットを絞り込みやすい」「口コミ効果が期待できる」「効果がすぐに把握できる」という、携帯電話の特性がそのまま広告にも現れている、あるいはそれを広告利用側が実感していることが分かる。

モバイル広告の利点
モバイル広告の利点
・口コミ
・効果がすぐ分かる
・安価

特にこの3年において、「口コミ効果の期待」「効果のスピーディーな掌握」という点において、利点と感じている企業が急増しているのが分かる。また伸び率はやや劣るが「制作費が安い」「媒体費が安い」など予算面でのメリットを挙げている企業が多いのもポイント。逆に「広いターゲット」「商品ブランドの向上」「企業の認知率向上」など、不特定多数向けの広告としてはモバイル広告はあまり利点として認知されていないことが分かる。


別所で改めて機会を設けて解説するが、今年度、つまり2008年度の広告費の比率はさらにデジタル広告が躍進する勢いを見せている。これもデジタル広告、特にモバイル広告でその特性を色濃く見せている「口コミ(バイラルマーケティング)」「効果の分かりやすさ、スピーディーさ」という点、さらに「ターゲットの絞り込み(効率の良い広告展開)」「低予算」という、高い費用効果が期待できる利点が好印象なものとして受け入れられたのだろう。

データにもあるように、既存メディアが得意としている不特定多数に大規模な展開を行う「じゅうたん爆撃的な既存の広報展開」は、デジタル広告(パソコン向け・モバイル向け広告共に)は苦手な分野となる。少なくとも広告出稿側からは「利点」とは見られていない。このような広告展開戦略においては、これまでどおり4大既存メディアを中心に広告出稿が行われるのだろう。

一方、特定商品向けキャンペーンをはじめとした「対象を絞り込む必要のある」告知には、これまで以上にデジタル広告が使われていくに違いない。要はこれまで「一から十までマスメディア向けに出稿」していたのが、特定ターゲット向けに適切な広告媒体(デジタル広告)が登場したことにより、出稿先が適正化されていく、ということだ。


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