チャイルドシートの利用率5年ぶりに5割突破、されど「正しい」取り付け方は……

2008年06月20日 06:30

チャイルドシートイメージ日本自動車連盟(JAF)は6月19日、チャイルドシートの使用・取り付け状況などに関する調査結果を明らかにした。それによると、6歳未満の子どもがいる状況においての使用率は50.2%となり、5年ぶりに5割を超えたことが明らかになった。一方で取り付け状況を精査した調査では、正しく取り付けられていたのは全体で3割前後という結果が出ており「とりあえず取り付けてはいるが、正しい方法での利用までには至っていない」という現状がうかがい知れる結果となった(【発表リリース】)。

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今調査は4月20日から30日の間、使用状況は全国102か所・1万0280台、取り付け状況・着座状況については全国8地域550台を対象に行われた。つまり「使用しているか否か」で回答した人と「正しい使い方をしているか否か」での回答者は別の自動車であることに注意が必要(あくまで統計値上の問題)。

チャイルドシートそのものは過去から存在していたが、2000年4月に改正された道路交通法によって、運転者が6歳未満の幼児を自動車に乗車させる場合には使用が義務付けられている。なお今調査では乳児用シート、幼児用シート、学童用シートをすべてチャイルドシートと総称している。

今回調査におけるチャイルドシートの全体的な使用率及び対象幼児の年齢別使用率は次の通り。

チャイルドシートの利用率
チャイルドシートの利用率
チャイルドシートの利用率(年齢別)
チャイルドシートの利用率(年齢別)

使用状況だけを見ると約半数が「(正しい装着方法か否かは別として)使用」状態にあり、残り半数のうち多数が何もせずにそのまま着席させていることが分かる。使用率そのものは2003年に51.7%を記録してから徐々に低下傾向にあり、2007年は46.9%にまで低迷していたが、今回50.2%にまで回復した。ただ、過去7年間の変動幅は5ポイント程度でしかなく、あるいは誤差の範囲内なのかもしれない。

リリースには各年齢層の詳細な区分があるが、さすがに1歳未満の乳幼児はチャイルドシートの利用率が8割を超え、残りも「保護者の抱っこ」がほとんどを占めている。しかし年齢が上がるにつれてチャイルドシートの利用率は低くなり、5歳(チャイルドシート装着法定年齢の最年長)では半数近くが「車両シートにそのまま着座」している。

それぞれの子どもの固有差もあり、一概に「6歳未満は全員チャイルドシートを使用」としても実態に合わない事例もあるのだろうが、出来うる限り法令には従うことが望ましい(特に乳幼児に多い「保護者の抱っこ」は面倒がなくてよいが「万が一」の時に色々と問題がおきうるので、避けた方が良い)。

一方でチャイルドシート利用者にその利用方法が正しいかどうかを精査したところ、全体では実に7割近くが「何らの問題がある」ことが認められた。

チャイルドシートの取り付け状況調査結果
チャイルドシートの取り付け状況調査結果
乳幼児シートにおける取り付け時のミスユース(間違った使い方)
乳幼児シートにおける取り付け時のミスユース(間違った使い方)

元資料には幼児用シートのミスユースの統計結果も出ているが幼児用と似たようなものなので省略する。ともあれ、「腰ベルトの締め付け不足」「座席ベルトの通し方」の二項目で7割近くを占めているのが見て取れる。せっかく正しいサイズのものを購入しても、取り付け方に問題があれば、万一の時に効果を十分に発揮し得ない。購入時に講習を受けるなり、付属している解説書にしっかり目を通すなりして、正しい取り付け方で利用して欲しい。もし自分で分からなければ、購入店舗やJAFなどにたずねるというのもアリだろう。


チャイルドシートイメージ調査結果レポートではその他にも、「子どもの着座のさせ方が正しいかどうか」についても調べた結果を掲載している。こちらは全体で約6割が「正しい着座」だが、逆にいえば4割で何らかのミスが見つかっている。

せっかく正しい取り付け方をしても、着座時の仕方に間違いがあれば、すべてが台無しになる可能性もある。「正しいタイプ・サイズのものを入手して」「正しい方法で自動車に取り付けて」「正しい着座のさせ方で子どもに座らせる」という3ステップをすべてクリアして、はじめてチャイルドシートの効果が発揮されることになる。

もちろん「チャイルドシート」が「役立つ」万一の時が来ないのが一番。しかし、本人がいくら注意をしていても第三者(が運転する他車両)の意図により、その「万一の時」が来る可能性はある。保険と同じで、チャイルドシートは「まさか」の時のための装備。正しい利用をすることで、運転手はもちろん子ども自身にもさらなる安心を得ることができるはずだ。そして気持ちの良いドライブを楽しめるだろう。

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