3か月で4社が950トン、バター製造大手が増産計画発表

2008年06月05日 08:00

バターイメージ社団法人日本乳業協会は6月4日、農林水産省の「家庭用・業務用の冷蔵バターの優先的な生産・出荷」要請を受けたことと、世間一般に広がるバターの品薄感を解消するための当面的措置として、5月に家庭用バターの増産を実施したことを明らかにした。また6月以降も増産体制を続け、6月から8月の3か月間で、総計950トンを大手4社全体で増産することを発表した。ただし「努力して」という表記なので実現できるかどうかは不明(発表リリース、PDF)。

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消費量の低迷などからほんの一、二年前まではだぶつき現象が何度と無く報じられてきた牛乳や乳製品だが、昨今の資源高によるコストパフォーマンスの低迷、畜産農家の廃業などが加速し、需給関係はあっという間に逆転。今度は品不足が問題視されるようになった。昨今ではバターの値上げ・品不足が明らかとなり、夏以降は牛乳も品不足化が加速するのではないかといわれている。

この状況、および冒頭にあるような農林水産省の要請を受け、主要四社(【明治乳業(2261)】、[森永乳業(2264)]、【雪印乳業(2262)】、ぴよつ葉乳業)は5月に計画値として230トンの家庭用バターの増産を実施。6月以降も3か月間で計950トン(家庭用冷蔵バターは6月200トン、7月100トン、8月80トン。業務用冷蔵バターは毎月200トン前後)を増産することを発表した。

しかし元々原材料の高騰や品不足がバター不足の一因であることから、「増産する」と宣言しても、それがかなうかどうかは原材料の確保が出来るかどうか(そして可能なら適正な価格での確保)にかかっている。季節柄、かもしれないが家庭用冷蔵バターの増産目標値が毎月減少しているのも気になるところ。

ちなみに【直近のデータ(PDF)】によれば、バターの生産量は1993年の10万5300トンをピークに徐々に減少。2007年には7万5058万トンにまで減っている。一番新しいデータの2008年4月の月間生産量は7091トン。前年同月比で7.4%(568トン)の減少という数字が出ている。つまり今回増産をしても、よくて去年から比較した減少分の半分程度しかカバーできない計算になる。

需給関係の巧みな調整や、資源価格の高騰・畜産農家の後継者問題など山積する問題を解決しない限り、根本的な状況改善は難しそうだ。


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