【更新】2008年5月度の外食産業の売上は前年同月比でプラス1.2%・休日1日増が貢献

2008年06月28日 19:30

外食産業イメージ日本フードサービス協会は6月25日、協会会員会社を対象とした外食産業の市場動向調査における2008年5月度の調査結果を発表した。それによると総合売り上げは前年同月比でプラス1.2%となり、二か月ぶりに前年同月比プラスに転じた。雨天日数がやや多かったものの気温が安定し、さらに休日が前年同月に比べて一日多かった関係もあり、来客数が増加。食品値上げ報道などで外食をひかえる動きにも負けず、来客数を増やしている企業も見受けられるとのこと([発表リリース])。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われたもので、対象数は事業者数が177、店舗数は28575店舗(既存店はそれぞれ172、24846)と先月から事業者数が大幅に増加している。店舗数がさほど増えていないのは、新規参入企業が多い一方で、既存企業は店舗の統廃合を続けているからかもしれない。

全業態すべてを合わせた5月度売り上げ状況は、前年同月比で101.2%と前年同月を1.2%上回り、しばらくぶりにマイナスを示した先月から再びプラスに転じた。業態別では相変わらずファストフードが堅調で、特にめん類において著しい。また既存カテゴリには当てはまりにくい「その他」項目店舗の伸びも大きなものがある。客単価の伸び率はばらつきがあり、店舗数・客数共に伸びているめん類でやや下落の傾向が見受けられるものの、和風以外は押しなべて堅調。和風だけは客数が大幅に減少した関係で、和風の売り上げを前年同月比マイナスにしている。

一方ファミリーレストラン部門の伸び率は中華以外は軟調。2か月前まで軟調な中華形式はこれまでの下げの反動からか今月も店舗数・客単価が伸びプラスに転じている。一方焼き肉部門の下げは相変わらず。また今月はファストフード同様に和風で大きな下げが見られる。

客数データ、しいては売上高は天候に左右されるところが多い。5月は東京大阪共に雨天日数が多かったものの、休日が昨年より一日多かったため、客数の減少を最小限に抑えられた。一方で客単価は増加を見せ、これが結局売上高を押し上げる要因となった。

全店データ(既存店、新店合わせて)
全店データ(既存店、新店合わせて)

5月データにおいては4月に続き、ここ数か月来よく見られる「新築されためん類のお店が非常によく頑張っていることが分かる」という傾向が再び現れ、ファストフード部門においては和風店の下げをもカバーする形が見える。気候的にはそろそろ下火になってもおかしくないのだが、めん類は比較的安くて満腹感が得られ、色々な味のバリエーションが楽しめることから、多くの人に受け入れられているのだろう。もっとも客単価が前年比でマイナスを見せているところから、あるいはそろそろ値下げ競争が始まったのかと不安視される向きもある。

日取りのおかげで
客数減は最小限に。
販促活動で
客足増加の企業も。

原材料費の高騰による食品などの値上げ報道やガソリン代の急騰などで、外食業界には逆風が続いている。さらに「外食の料理」から「自炊で料理を」「せめて中食に」といった食事スタイルのシフトもネガティブ要因として挙げられる。しかしそのような逆風の中、ケータイクーポンや折込チラシをはじめとした顧客の囲い込み戦略、品質の向上化によるアピールなどで客足を呼び込むことに成功している企業もある。たとえばケータイクーポンで有名な[マクドナルド(2702)] では【最新月次データ】を見ると5月は前年同月比で売り上げは3.8%のプラス・客数は3.9%のプラスを示している。一年前の前年同月比が11.9%のプラス・13.7%のプラスだったことを考えると低めの数字ではあるが、現在の環境においては大健闘といえよう。

食品価格の高騰は世界的な傾向として表れており、先物の規制や自粛活動など投機マネーの動向に変化がない限り、しばらくは継続しそうな雰囲気。その観点からすれば外食産業にも厳しい時代が続く。業種別の特性(例えば焼き肉部門は低迷が続いている、和風部門も低迷)は仕方ないにしても、顧客の誘引に成功している企業の事例を参考に、他の企業も積極的な展開を推し進めた方が良いだろう。守りの時代という環境の中で、単純に守っていただけでは、漸減するばかり。攻守のポイントを見極め、時勢にあった戦略を打ち出すべきだろう。

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