【更新】「築12年」実は築29年でした・公取委がエイブルに排除勧告

2008年06月19日 08:00

住宅広告イメージ公正取引委員会は6月18日、不動産賃貸仲介では大手の[エイブル(8872)]が、実存しない物件やすでに入居者がいる物件の情報、さらに約20年ほど「さばをよんだ」物件情報をインターネット上や専門誌で掲載したなどとし、景品表示法違反(優良誤認、不動産おとり広告告示)で再発防止のための排除勧告を出した。エイブル側ではチェックミス・システムの誤動作によるもので意図的なものではないと説明している(公正取引委員会側リリース、PDF、[関連報道:日経新聞])。

スポンサードリンク

リリースなどによれば公正取引委員会では2007年夏から東京都・埼玉県・福岡県の13店舗に対して調査を行い、そのうちの9店・18物件で問題となる要件を確認した。その内容が多岐に渡るため、同社の800店舗以上ある他店舗でも同様の不当表示があったことが推測され、今回の措置となった。

公正取引委員会による具体的な指摘点は次の通り。

・「駅から徒歩16分」→「駅から2.1キロ、徒歩26分」(確認1件)
・「1996年5月建築」「1997年8月建築」→「実際は1979年2月建築」「実際は1990年10月建築」(確認2件)
・「この優良物件を賃借できますよ」→「実はその物件は存在しない(おとり広告)」(確認1件)
・「この優良物件を賃貸できますよ」→「実はすでに貸し出されており、借りることが出来ない(おとり物件)」(確認14件)


後者2件については顧客の問い合わせに対し来店を勧め、いざ来店したら「実はもう決まっちゃってます。代わりにこんな物件はどうですか」と空き物件のうち条件が近いものを推奨していたとのこと。

今件についてエイブル側では[リリース(PDF)]を発し、指摘のあった要件について「システムへ入力したデータの人為的なチェックミス」「システムの誤操作による誤表示」と説明し、意図的なものではなかったと説明している。

公取委の解釈とエイブル側の説明のどちらが正しいのかは今回の発表からだけでは判断しにくい。とはいえ、確率論的に9/13店舗の割合で問題が発見され、その内容が多種多岐に渡ることを考えると「システム誤動作やミスによるものならば、大金がやり取りされる不動産関連の情報提示としては誤りが多すぎる」「意図的なものだとすれば店舗・地域グループレベルではなく全社レベルでの営業指針としてやっていた可能性」と、どちらにしても頭の痛い問題に違いはない。

去年の夏、いわゆる「サブプライムローンショック」と改正建築基準法施行以降、それまでイケイケ状態だった日本の不動産業界も風向きが変わり、外資の資金などの引き上げや関連企業が倒れるなど、雲行きが怪しくなっている様相が見受けられる。なかなか物件が売れない状況であることは理解できるが、世の中にはやってよいことといけないことがあることを、改めて認識すべきだろう。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ