ニューヨークタイムズ紙、「タイム'ズ'マシン」を提供

2008年05月25日 12:00

タイムズマシンイメージ海外メディアの動向に詳しい【media pub】に気になる話が掲載されていた。アメリカの新聞社としてメジャーどころのNew York Times(ニューヨークタイムズ)紙が【TimesMachine】なるサービスを始めたという。無論本当にタイムトラベルで過去の世界にご招待、というわけではなく、同社の過去の新聞内容を閲覧できるというもの。タイムマシンとタイムズ紙をかけて「タイムズマシン」としたようだ(【ニューヨークタイムズ紙の発表リリース】)。

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タイムズマシン。サンプルもいくつか閲覧可能。左端にはくだんの「タイタニック号」の記事が。
タイムズマシン。サンプルもいくつか閲覧可能。左端にはくだんの「タイタニック号」の記事が。

すでにニューヨークタイムズ紙では1851年以降の全記事を収めたデジタル・アーカイブ・サービスを始めている。古いデータについてはダイジェストを確認できるだけで全文を読むには有料会員になるか、あるいは宅配(紙媒体)新聞の定期購読者になる必要がある。要は販促ツールということ。

今回スタートした「タイムズマシン」も似たようなもので、1851年9月18日から1922年12月30日までの、70年余間の記事がデータ化されている。サイトの左端にあるツールバーで望みの記事を探せば、当日の新聞が「PDFで」閲覧できる。

基本的に各記事は主要項目毎にブロック化されてデータとして収録されており、1ページ単位で見たい部分をカーソルで指定して(該当部分が青くなる)クリックすれば、その記事部分が拡大され、詳細を確認することができる。記事指定をする時にポップアップされる概要部分はテキスト化されており、あたりをつけた上で拡大指定が可能。残念ながら全文のテキスト化はされていないようだ。

タイタニック号関連の記事。カーソルを合わせるとその部分の概要テキストが表示。クリックすると該当部分が拡大表示される。
タイタニック号関連の記事。カーソルを合わせるとその部分の概要テキストが表示。クリックすると該当部分が拡大表示される。

また、通常の人が閲覧できるのはサンプルだけ。ツールバーで検索をかけようとすると「有料会員になるか宅配新聞を取ってね」と表示されてしまう。タイトルと一部分が表示されるこれまでのデジタル・アーカイブと比べても公開範囲が狭められている。過去のものとはいえ、新聞そのものを取得できるサービスなのだから、それくらいの制限は仕方ないのかもしれない。

既存のアーカイブが記事そのものを確認できるにとどまっている(オンライン上のテキストのみの記事のようなもの)のに対し、「タイムズマシン」では発行された宅配新聞そのもののイメージを閲覧できるのが大きな違い。サンプルにはタイタニックの事故を知らせる記事の他に、第一次世界大戦終了、100年前、リンカーンの暗殺を知らせる新聞などが用意されている。記事の文章だけでなく図版や広告なども確認できるため、当時の世情をかいま見ることもできそうだ。

タイタニック号の記事が掲載されていた日の新聞に載っていた帽子の広告。当時はブームだったのだろうか、複数の「帽子広告」を見かけることができた。
タイタニック号の記事が掲載されていた日の新聞に載っていた帽子の広告。当時はブームだったのだろうか、複数の「帽子広告」を見かけることができた。

情報をいち早く、分かりやすく伝えるという観点で欠かせない存在だった「新聞」は、インターネットという新しいメディアの登場でその立ち位置を見直される時期に来ている。スピードの点では瞬時に世界に流れるインターネットに、紙媒体の(既存の)新聞は勝てそうにもないからだ。そのため世界中の新聞社で、新しい時代の中で自らの立場を考え直し、次世代メディアたるインターネットが普及する世の中でも、ポリシーと存在意義を失わないよう、試行錯誤と努力が繰り返されている。今回の「タイムズマシン」も、実績と歴史を有効活用する手法として導き出された、一つの「工夫」といえよう。

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