「そこにしわがあるからだ」山頂や砂漠、海の中でもアイロンがけをする「エクストリーム・アイロニング」とは?

2008年05月15日 19:45

アイロンイメージ最近テレビを観る機会がめっきり減り、その代わりにラジオを聴く時間が増えていることはすでに【ラジオはテレビよりインターネットに近いのかもしれない】で触れた通りだが、先日ラジオから流れてきた会話には耳を疑わざるを得なかった。川くだりをしながら、あるいはエベレストに登山をしながら「アイロンがけ」をするというのだ。いわく、どんな場所ででもアイロンがけをした方が心が和む・精神が安定するということらしい。「アイロンがけ」が何かの隠語、あるいは業界用語、それとも当方の聞き違いなのか、とも思われたのだが……

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山頂でアイロンがけをするアイロニスト
山頂でアイロンがけをするアイロニスト

冗談でも聞き違いでもなく、本当に「アイロンがけ」だった。

ありとあらゆる場所、状況下でアイロン台を広げて服にアイロンをかけるこの競技(過激な技を競い合う「エクストリームスポーツ」)、総じて「エクストリーム・アイロニング」(エクストリーム・アイロンがけ)というのだそうな。そしてこの競技をこなす人を「アイロニスト」と呼ぶ。強そうでもあり腰くだけなようでもある。

この「エクストリーム・アイロニング」【日本の協議会EIJ(Extreme Ironing Japan)の公式サイト】の説明によると歴史は意外に浅く、1997年にイギリスで発祥。フィル・ショウ(Phil Shaw)なる人物が天気の良い日に外でアイロンがけをしたのがきっかけ。一説によるとこのスポーツが生まれ支持されているのは、「他のエクストリームスポーツ同様にアクション性の高いスポーツで得られる刺激」と「アイロンがけがうまくいった時の爽快感」を組み合わせたものだからこそだとされている。

「エクストリーム・アイロニング」はアピール性の強い競技のようでマラソンや幅跳び、やり投げのように明確な数字的ルールは特になく、その時その時の競技ルールにおける設定で優劣が決まるらしい。例えば2002年の大会では1500メートルのコースに5つのアイロンがけポイントがあり、技術点(アイロンがけのきれいさ)・ビジュアル点(イカすポーズでかけたか)・タイム(ゴールまでの速さ)の総合得点で優勝が決まったという。むしろ競技や順位云々ではなく、「自分のハードルの高さを認識し、自分でそれを超えるチャレンジをし、成し遂げる。それがエクストリームアイロニングなのだ」とのこと。

競技の道具は通常のスチームアイロン。そしてスタンド式のアイロン台。これを利用し、自分の肉体にチャレンジする形で激しく、魂からわき上がる情熱をそのまま形にするかのごとくアイロンがけをしていく。

日本国内での「エクストリーム・アイロニング」のようすは【公式サイト上の写真ライブラリ】のページにあるが、蔵王の雪山、筑波山頂、鳥取砂丘、江戸川くだりをしながら、富士山頂、競輪用の自転車を駆りながら、果ては遠隔操作やカーリング、滝に打たれたり海中の中でのアイロニングなど、「アイロンがけそのものの意味ないジャン!」とツッコミを入れたくなるような状況も。



時速数十キロで走る競技用自転車に乗り、滝に打たれながら「アイロニング」。エクストリームスポーツならではの醍醐味が、普通のそれとは違った雰囲気で感じられる。本来のアイロンがけの意味はともかくとして。
時速数十キロで走る競技用自転車に乗り、滝に打たれながら「アイロニング」。エクストリームスポーツならではの醍醐味が、普通のそれとは違った雰囲気で感じられる。本来のアイロンがけの意味はともかくとして。

動画投稿サイト「Youtube」でも海外のものがほとんどだが「アイロニスト」たちの活躍を知る事ができる。むしろ静止画より動画の方が衝撃度が大きいだろう。また、みんないたって真面目に「エクストリーム・アイロニング」しているのが分かるはずだ。




海外のプロモーション動画からのものらしい。皆、楽しみながらも真剣に取り組んでいる。

予備知識がないと彼らの競技のことを耳にしても、当方のように慌てたり自分の耳を疑ったりしてしまうだろう。ましてやいきなり「エクストリーム・アイロニング」の競技のようすを目にしようものなら、罰ゲームかバラエティ番組の公開録画か何かと勘違いしてしまうに違いない。しかし実際にはれっきとしたスポーツ競技の一つであり、彼らは皆真剣に、そして熱心に、はつらつとした気分でアイロニングを行っている。

価値観の違いや端から見た異様さはともかくとして、彼らアイロニストのひたむきさと熱意、そして勇気には心の奥底から惜しみない拍手を贈りたいものだ。


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