「学習」の廃刊も!? 学研が抜本的経営改革計画で不採算部門の切り捨て発表

2008年05月10日 12:00

時節イメージ【学習研究社(学研)(9470)】は5月9日、2010年までの事業計画「学研グループ 2か年経営計画 2010」において抜本的な経営改革を行うことを発表した。その中で「赤字事業の撤退・縮小」を掲げ、採算の合わない事業から手を引く事を示唆している。一部報道ではこの点について、同社発の教育付録雑誌として名高い「学習」の休刊検討をしていると報じた。「科学」は存続の方向で話が進められているという(【発表計画、PDF】【参照記事:日刊スポーツ】)。

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子供向け付録教材「学習」は学研の創業した1946年の発行。読み物的な冊子と付録がセットになった月刊誌で、書店販売ではなく宅配での販売スタイルが特徴。読み物傾向が強い「学習」と付録に重点が置かれた「科学」とのセットで人気を集め、ピーク時の1979年には合計で630万部を毎月売り上げていた。

ところが少子化による市場の縮小、さらには即効性のある教育を求める風潮から「情緒教育的な面も強い付録込みの教材はウケが良くない」傾向が強まり、現在では発行部数がピーク時の1割以下に落ち込んでいるという(当然単部門では赤字)。

学研では【発表リリース、PDF】にもあるように、筆頭株主の投資ファンドから業績不振を理由に遠藤洋一郎社長の解任を求められるなど、経営改革を早急に進めねばならない事情がある。上記リンク先に掲載されている発表計画では

●赤字事業の撤退・縮小
◇雑誌出版事業:不採算雑誌の休刊や、要員の最適化等を含むコスト削減によって採算事業への転換を達成します。
◇家庭訪問販売事業:事業環境の悪化を鑑み、事業の撤退・縮小等の抜本的な見直しを図ってまいります。


とあるが「学習」「科学」など具体名は記されていない。具体的にはこれから決めるとしている。

5月9日時点で読売新聞などは「学習の廃刊検討、科学は落ち込みが小さいため存続」と報じていたが、10日早朝時点ではすべて削除されており、かろうじて日刊スポーツの報道で確認が取れた。あるいは「学習と科学」については検討対象に違いは無いものの、具体的にまだ何も決まっていないのが実情なのかもしれない。

とはいえ雑誌出版・家庭訪問販売の両事業で「抜本的なコスト削減」を学研自らが模索しているのは事実。しかも具体的なコスト削減額が設定されている以上、大きな赤字を出して今後のニーズ回復も難しい「学習」「科学」、とりわけ(報道では)「科学」より一層厳しい「学習」が撤退対象に挙げられるのは想像するに難くない。

当方も含めかつて「学習」や「科学」と共に歩んできた多くの人にとっては残念な話だが、これも時代の流れといえるだろう。とはいえ何らかの形、例えばオンラインマガジンの形で「学習」の名前を残しておいて欲しい気がするのも事実。「付録」は採算が取れるのなら別途販売にするのもアリ。

あるいは好評を博している「大人の科学」同様に「大人の学習」を出すのも良いかもしれない。もっともこのネーミングについてはすでにDSで』学研DS大人の学習 金田一先生の日本語レッスン』が出ているので、再考する必要があるだろうが……。


(最終更新:2013/09/07)

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