どんぶり勘定から家計を守るための5つのポイント

2008年05月18日 12:00

お財布イメージ日本の基本的な雇用体系であった終身雇用制も前世紀末あたりから崩れだし、新入社員から定年を迎えるまで同じ会社のお世話になるという人の割合は昔と比べてずいぶんと少なくなった。人材の流動性の上昇が良いか悪いかは別にしても、アメリカはもちろん、日本ですらそのような現状に置かれているのは否定できない。そのような不安定な状況の中でも、個々の家計をどんぶり勘定から守るためにはどのような手を打つべきか。日本よりはるかに雇用関係がドライで収入にもシビアな国、アメリカの新聞【NewYorkTimes】では「手だて」について5つのポイントにまとめていた。

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投資はシンプル(INVESTING IS SIMPLE)

“食物を食べてもいいが食べ過ぎるな。将来のために種として保存し畑に植えなさい(Eat food. Not too much. Mostly plants.)”という、ベストセラー『In Defense of Food: An Eater's Manifesto(英語)』の言葉を引用し、「節約し投資しなさい。そして時々方針を見直しなさい」と述べている。そして(アメリカの株価が中長期的には右肩上がりなのを前提として)インデックス系の投資信託に投資してみようと薦めている。

値動きの激しい現物株式やオプション、先物もスリリングではあるがギャンブルに近しいので、ポートフォリオのごく一部分のみに留めておくように、という注意書きもある。さらに分散投資の原則に従い、株式(投資信託)、債券、その他金融商品に分散投資をすることもコメントしている。リスクが低い対象なら「節約し貯金しなさい」という意味に近くなるわけだ。

専門家の助けを得るのは悪くない話(IT STILL MAY BE WORTH PAYING FOR HELP)

自分自身がお金に関する専門家であれば話は別だが、世の中には豊富な知識を有償で提供し、よりよい(金銭面での)生活設計を手助けする「プロ」が山ほど存在する。欧米では広く普及し、日本でも最近その名を知られるようになったFP(ファイナンシャルプランナー)が良い例だ。ゴルフやピアノにしても自己流で練習するよりも、その道のプロのアドバイスを受けた方が成長も早いのと同じ理屈。

対象がお金であるだけに、「料金を払ってお金を節約するのは本末転倒では? 」という考えもなくはない。しかし仮に収入の1%を手数料として支払っても、2%の節約ができれば、「自己流で金銭関連の設計をした時より」1%の無駄使いを防ぐことが可能となる。

身近な人はプロより多くのことを教えてくれるかも(PEERS MAY KNOW MORE THAN PROFESSIONALS)

相談イメージ昔は井戸端会議などのコミュニティの中に、必ずひとりは「その道の経験豊かな賢者」がいたもの。しかしインターネットが普及した今では、井戸端会議はネット上の掲示板やチャット、Q&Aコーナーに代わり、「不特定多数の経験豊富な賢者」がダース単位でネットワークの向こう側に存在する。

例えばQ&Aコーナーでは毎日多数の「収入がこれだけで保険がこれだけ、家賃とローンはこれだけです。もう少し節約したいと思うのですが……」という類の家計相談が投げかけられ、不特定多数の良回答が寄せられている。中には「ノイズ」もあるし書き込みの量は1日48時間あっても足りないくらいの多さだが、それを見分ける能力と「検索するスキル」があれば、毎日数時間かけてじっくりと監視する必要はない。

自動化を促進しよう(EVERYTHING CAN (AND SHOULD) BE AUTOMATED)

クレジットカードや各種公共料金が(基本的に)取りっぱぐれないのは、自動的に銀行口座から引き落とされるシステムを用いているため。集金員を派遣する必要もなく、判子を押してもらう必要もない。

銀行口座の残高に注意していれば、延滞料金を支払う羽目におちいることもなくなる。時間と手間と延滞料金を節約できれば、他に注力することが可能となる。そして支払いの流れが通帳で把握できるというメリットもある。

周囲の人と対話を持とう(HAVE THE TALK)

親子イメージこれから定年退職・年金生活のことを考えようとしている人は子どもたちに、そのような両親を持つ人たちは祖父母に、将来の金銭的な計画についてじっくりと突き詰めて話をするべき。個々が独自のそろばん勘定をするのなら問題はないが、実際には子どもが親と同居するために二世帯住宅を建てたり、親が子どもを、子どもが親を財務的に援助するという可能性も十分にある。

自分自身のお金の勘定はできても、将来助ける・助けられる相手のことを考えていなければ、計画そのものが破綻しかねない。それぞれのライフプランをつき合わせることが必要だろう。


日本の株価の状況を見ると「定期的に金融商品に投資しろ云々」というのはいささか当てはまりにくい気もするが(ただしノーリスク・ノーリターンという言葉もある)、その他の4項目は日本でも十分該当する事柄といえる。「自分は少しも無駄使いしていないよ」と思っていても他人の目から見れば案外チェックすべきポイントがあるものだ。ましてやその道のプロならなおさらのこと。

自分で考える能力を磨く意味では、まず最初に自分で考えるのは必要不可欠。その上で他人の声に耳を傾け、より良い家計を構築していこう。今日節約できた100円が、明日の1000円、1年後の1万円、10年後の100万円になっているのかもしれないのだから。

(最終更新:2013/09/07)

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