テレビ放送映像をフルハイビジョンテレビにも・低解像度の映像を高画質化する「1枚超解像技術」技術開発

2008年05月16日 06:30

技術イメージNECエレクトロニクスはNECの中央研究所と共同で、低解像度の映像や静止画像を拡大して大画面に表示する時に、画像のぼけや荒さを改善する技術「1枚超解像技術」を開発したと発表した。この技術を使えば、ワンセグレベルの映像をカーナビで鮮明に表示したり、通常のテレビ放送レベル(VGA)の映像データを6倍の解像度となるフルハイビジョンテレビ上で鮮明に表示することが可能になるという(発表リリース)。

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1枚超解像技術
1枚超解像技術

今回開発された「1枚超解像技術」は、1枚の画像データの情報を解析・処理することで、画像のぼけや粗さを改善し、高画質化するアルゴリズム。画像データの引き伸ばしのために拡大処理する際に、人物や物体の輪郭部分となる画素の表現調整を行うことで、画質の補正や色の再現度を高め、画像を鮮明に表示することができるようになった。

具体的には

・QVA(320×240ドット)のワンセグ放送→WVGA(800×480ドット)の携帯電話やカーナビ
・VGA(720×480ドット)のテレビやDVD→フルハイビジョンテレビ(1920×1080ドット)


などの環境で表示しても、鮮明な映像が期待できるという。

NECエレクトロニクスではこの新技術のIPコア部分を搭載したASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け半導体製品)の受注を今年度の上期から開始。2010年度には100億円の受注を目指す。早ければ来年夏にも第一号の出荷が可能となるという。このチップを使えば、ソフトウェアを使わず、処理に必要なメモリの外付けも不要で、リアルタイムで処理することができる他、データ容量も少なくデータ出力インターフェイスには汎用のものが使われているため、既存のシステムに組み込んで画質の改善を図ることが容易とのこと。

つまりこのチップを使えば比較的低コスト・短期間で、既存の携帯電話やカーナビ、テレビなど画質向上が求められている分野に貢献することが可能となる。さらに発想を逆転し、例えばデジカメなどに搭載することで同じスペック上のハードにおいて、撮影可能な写真枚数や録画時間を伸ばしたり、スキャナの時間短縮も図れる。

「データ補正」による画像の鮮明化は資料の映像データにあるように、かなりの出来であることが分かる。あくまでも「補正」のため、学術的なレベルでの利用には難があるかもしれないが、民生用としては十分に活用できる。あとは価格や変換速度など、現場レベルでの機能改善の模索に期待したいところ。

人の願望は際限がないため、画質のよさへの追求も留まるところを知らない。メーカー側にとっても「他社より美しい画像ですよ」とアピールできれば、商品の魅力をアップすることができるため、注目することだろう。

また、「機能のチップ化による広範囲な機器への提供」というと先日の【手ぶりでおもちゃが動く「ジェスチャー認識」動作認識ソフト、商品化にめど】が思い浮かぶ。素人考えではあるが、自社の技術が詰まったチップがさまざまな商品に展開されていくのは、開発した側からすれば非常に気分のよいものだろう。この「心地よさ」が技術者のモチベーションを高めていくに違いない。

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