【更新】ニイウス コー(2731)、循環取引などの不適切取引により278億円の債務超過・民事再生手続き申請・上場廃止へ

2008年04月30日 19:35

株式イメージ先に【ニイウス コー(2731)、循環取引で300億円の資産過大計上・読売報じる】で報じたように旧経営陣の大規模な循環取引が指摘されていた、ソフトウェア開発業者で現在経営再建中の【ニイウス コー(2731)】は4月30日、調査委員会の報告として過去5年間に682億円の不適切取引が行われ、当期利益への影響額が277億円にのぼることを明らかにした。またそれを反映させた結果2008年6月期中間決算において278億円の債務超過状態にあること、一部金融機関からの支援策に関する賛同が得られず、民事再生手続きの申し立てを行い受理されたと発表した。現在同銘柄はすでに監理銘柄として指定されているが、リリース中において「東京証券取引所有価証券上場規程第605条第1項に規定する再建計画等の審査に係る申請については、行わない予定」とあり、整理銘柄指定を経て上場廃止がほぼ決定したことになる。

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[調査委員会の発表概要(PDF)]によると、該当する過去5期分について精査したところ(対象資産の97%)、56取引、売上金額総額682億円の不適切取引が判明し、当期利益への影響額は277億円に及ぶことが判明。不適切取引そのものについては

1.実体の無いとみられるスルー取引
2.粗利益5%以上を計上したセール&リースバック取引
3.リース契約(会社)を利用した不適切な循環取引
4.売上の先行計上とその後の失注処理、買戻しによる循環取引
5.不適切なバーター取引による売上


などが判明。「2」は会計側の認識・理解不足だったものの、それ以外は担当・旧経営陣によるものとしている。またこれらの不適切取引をした理由については

1.東証一部上場を目指すため売上と利益成長を第一とする旧経営陣の独断専行
2.営業成績に対する高額なボーナス・給与への誘惑
3.経営管理体制の未整備と企業風土
4.コンプライアンス意識の低さ


などを挙げている。単純に、やや乱暴にまとめると「当時の経営陣も現場担当も欲の皮突っ張って『不法行為? そんなの関係ねー』状態にあり、それを留めるルールも順法意識もさらさら無かった」ということになる。

これらの調査結果から、法定期日には間に合わないものの過去の決算諸表を訂正した上で再提出すると共に、不適切取引を主導した旧経営陣への責任追及訴訟提起、重要な役割を果たした2役員に対する私財の提供要請、さらにその他の関与職員への処分を発表している。

一方で多額の負債を抱えることになった事態に対し、DES(デット・エクイティ・スワップ:負債を株式と交換し、増資のような形で負債を帳消しにする再建方法)を行うべく取引先金融機関との間で協議を進めていたが、一部金融機関からの賛同が得られず民事再生手続き開始の申し立てを行うことになった([発表リリース、PDF])。負債総額はニイウス コーが408億円、グループ会社のニイウスが732億円。双方に連帯債務関係にあるので、合わせて1140億円になる。

なお同日2008年6月期中間決算短信も発表されているが([発表リリース、PDF])、上記事由による修正が加わったため中間純利益はマイナス152億8400万円、1株あたりの純資産は1万9917円20銭の「マイナス」となってしまっている(債務超過状態)。

今後ニイウス コー側ではグループ会社の売却をはじめ民事再生法の適用を受けた上で、コスト削減や日本IBMとの協業体制の強化をはかり、事業再建を目指すとのこと。

循環取引をはじめとする不適切取引が行われる理由は、企業や部署によってさまざま。今件の場合は経営陣の見栄と名声欲、「にんじん」につられた現場の法的認識の甘さなど、企業そのものが劣化するネガティブ要素がフルハウス状態でそろってしまった事になる。上場企業を構成する「人物」とて、人の欲は尽きまじというところだろうか。


(最終更新:2013/08/06)

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