ラーメン10%・焼きそば9%……めん類中心に物価急上昇、家計防衛への関心高まる

2008年04月17日 19:40

ガソリン価格イメージ内閣府は4月15日付けで原油価格などの原材料費の高騰が生活関連の物資に与える影響について調査する「国民モニター調査」の結果を発表した。それによると物価上昇が家計に与えている影響について「かなり受けている」と回答した人が約4割に達すると共に、価格情報に敏感になる人が増えるなど、消費者側でも積極的に生活(家計)を守ろうとする意識が高まっていることがうかがえる(【発表リリース、PDF】 )。

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今調査は今年の1月に続く2回目で、2月12日から14日と3月11日から13日の2回に分けて行われた。生活モニター登録者2000人に対して身近な店舗での実際の商品17品目27商品の価格を調べてもらうと共に、当人らの対策などを聞いている。有効回答数は1625人分。

商品の通常店頭価格と特売価格について、1月調査と比べてどのように変化をしたかの問いには半数近くの12商品が「上昇」したと回答されている。横ばいなのはやや少な目の11商品・8商品で、わずか2か月の間でも該当商品などの値上げが相次いでいることが分かる。

調査対象商品の1月と3月における価格比較
調査対象商品の1月と3月における価格比較

大きく値上げした商品(店頭小売価格で8%以上)をリストアップしてみると次のようになる。

・スパゲッティ……8.3%
・カップラーメン……10.2%
・カップ焼きそば……9.1%
・みそ……8.3%

(商品名……1月から3月における店頭価格の上昇率)


みそを除けばすべて小麦商品であり、政府引渡し価格が大幅上昇したことで特にめん類に値上げが相次いだ影響が出ているのが分かる。また「みそ」の上げ幅が大きいのは原材料の「大豆」が高騰しているからに他ならない。

小麦や大豆など特に穀物系の原材料は、市場動向や需要の関係から、今後とも大きな値上げが容易に想像できる。政府価格の切り替えタイミングにあわせ、各企業による値上げ発表と共に店頭価格も引き上げられることだろう。

心境的にも大きな「値上げ感」を実感中

具体的な金額で値上げされた商品を目の前にすることが多くなっただけに、消費者の頭の中にも「物価が上がっている」気持ちが強まっているようだ。物価上昇が家計に及ぼす影響について「かなり影響を受けている」と回答した人は1月の39.3%から3%ほど増えている。

物価上昇が家計へ影響を与えているかどうか
物価上昇が家計へ影響を与えているかどうか

「かなり影響」「ある程度影響」個々の一か月単位での違いは誤差の範囲ともいえるが、「かなり」と「ある程度」を合わせた「家計に一定以上影響を受けている」層が1月以降じわじわと増加しているのが分かるはず。

設問自身が「影響を受けてないか」が1つに対し、程度の違いがあれど「影響を受けている」が3つ用意されているあたり、ある程度誘導尋問の気もする。しかしが「影響を受けている」割合が段々と増加しているのは、やはり物価上昇が深刻なレベルとして受け止められつつあることの表れだろう。

一方でただ値上げを指をくわえて見ているわけにもいかない。商品価格を比較し、少しでも安いものを求めるのが賢い消費者の選択。価格情報への注目度についても、物価上昇や心境上の「物価高騰感」の高まりに伴い、大きなものとなりつつある。

価格情報への注目度について
価格情報への注目度について

「特に変わらない」層や「分からない」層などはほぼ変わらないが、「どちらかといえば注目してみるようになった」層が大きく減り、その分「より注目して見るようになった」層が増えているのがわかる。元々何らかの形で注目していた層のうち、消極的だった人たちの一部がいっそう注目度を高めたことが予想できる。

調査結果では具体的な買い物対策も商品別に例示されている。主な傾向を挙げると次の通りとなる。

・特売日の無いガソリン、灯油、クリーニング以外は積極的に特売日を狙う
・お菓子や副食品など「ぜいたく品」、カップめんや焼きそばは購入量を減らす
・複数のお店を比較して安いところを選んで買う
・プライベートブランドも主食を中心に選ばれているが、率はそれほど高くない
・クリーニングは値上げに対してあきらめの感が強い


小売店舗側としてはプライベートブランドや特売品でお客を引き寄せて、他の商品とまとめて購入してもらい、売り上げや利益の維持を図ろうとしている。しかし消費者側は特売日の特売アイテムを中心に購入する傾向を強めているため、結果として「客数は増えるが売り上げ・利益は伸び悩む」結果が出てしまう。また、大型店舗を中心に展開されているプライベートブランドは、現状ではティッシュや食パン、スパゲッティなど一部商品以外は企業側が期待しているほどの集客効果をもたらしていないようだ。


今調査は消費者から直に得た回答を基にしているので、一般消費者の「生」の声にもっとも近い実情を表しているともいえる。27品目のうち多少の違いはあれど、特売の期待ができないガソリン類やクリーニング以外の商品の60~70%、特に主食品やティッシュなどでは70%以上の人が「特売日を狙って商品・サービスを購入する」と回答しており、家計防衛が着実に進んでいることが把握できる。

最近では新聞を取らなくとも各店舗の特売情報が掲載されているチラシを入手できる「電子チラシ」のサービスが多数展開されている(【検索エンジンで「電子チラシ」と検索すれば色々と出てくる】)。チラシの内容を実施している店舗は地域色が強く「全国単位で展開するインターネットにはマッチしにくいのではないか」とする意見もあったが、制作コストの安さと展開のしやすさ、そして何よりも物価上昇によるニーズの高まりが、それらのハードルを軽々と飛び越させてしまったようだ。

残念ながら今しばらくの間は、資源価格が引き下がる傾向はまったく見られず、よくて高止まり、下手をするとさらなり値上げも予想される。消費者にとってはこれまで以上に「生活防衛」の知恵が求められることだろう。

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