ある日突然「人口:ゼロ」その時地球は!?

2008年03月25日 19:35

LIFE AFTER PEOPLEイメージ先日「ヒストリーチャンネル」のある「LIFE AFTER PEOPLE」という番組を、【DailyMail】が紹介していた。タイトルは「我々が立ち去ったこの地球がどのような姿になるのかお見せしましょう(Revealed: what the world will look like when we've gone)」というもの。先に【もしも地球から人類が突然消え去ったら……「The World Without Us」】で紹介したような、一種の思考ゲームのお話だ。

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メンテナンスなしに時が過ぎ去り、自然崩壊するビル群
メンテナンスなしに時が過ぎ去り、自然崩壊するビル群

【公式サイトはこちら】状況設定は「突然、人口ゼロ状態になった地球」。理由は細菌でも超未来兵器でも異星人の攻撃でも神のいたずらでも何でもかまわない。何の混乱も引き起こさず、ある日地球上の上から人間という人間がいなくなったら、というもの。

元記事では問いかける。自分たちがいなくなった後の地球が数百年の時を経て、他の惑星の生物が来訪したとき、この地球に何があったのか、どんな生き物がいたのか、どの程度知ることができるでしょうか。

答えは単純明快。ほとんど何も知りえない。

現在の科学文明を構築している建物や物質、書籍や電子機器、マイクロフィルムですら100年以内にほとんどが消えうせてしまう。メンテナンスが行なわれないので人工物の大部分が朽ち果て、動植物が行き交う中で人の形跡はさらに失われ、バクテリアなどが細かく分解を続けていく。下手をすると異星人たちは「この惑星(地球)の最古の文明は、(残っているであろうピラミッドなどを見て)古代エジプト人に違いない」と信じるかもしれない、という仮説を伝えている。

この特集番組は単に適当な予想を並べ立てたのではなく、科学的な検証を元に推測され、そして現存する建物を元にグラフィックが描かれている。そして「人がいなくなり管理が行なわれなくなったら」という想定のもと、自然崩壊する過程が計算され、描かれていく。技術検証上のアドバイザーのトップを勤めるGordon Masterton氏は、国立土木工学技術者協会の元会長。彼らの長年の経験と知識、そして作家のDavid Brin氏らの想像力を元に、「予想」が行なわれている。

印象深い建物や景色を元にストーリーボードが作られる。
そして、その話の流れに従って元の景色がグラフィックに描き起こされ、計算の元に「崩壊」する様子が描かれていく。
印象深い建物や景色を元にストーリーボードが作られる。そして、その話の流れに従って元の景色がグラフィックに描き起こされ、計算の元に「崩壊」する様子が描かれていく。

彼らは次のようになるだろうと考えている。

・電力供給がほぼ断たれるので人工の光はほぼすぐに世界中から消え去る。
・風力発電所はしばらく運転を続けるが、それも長持ちしない。数週間後には山火事以外は(夜間は)暗闇に包まれた、原始時代のような暗黒の世になる。
・半年も経てば都市部は「再植民」が行なわれる。かつて人間が飼っていたペットによって。
・20年も経てば狼や熊が街の中で大手を振って徘徊するようになる。木製の家はぼろぼろになって崩れ、コンクリートや鉄骨製のビルですらきしみを生じてくる。
・生えるに任せた雑草に稲妻の火が点火し、都市に火災が発生するかもしれない。
・40~50年の経過で鉄骨は腐食し、植物が浸食し、雨ざらしになったことで、コンクリート製などの近代建造物ですら崩壊をはじめる。
・100年以内にほとんどの自動車は錆びて自壊してしまう。
・ロンドン中心部のような、低地にある都市は水没してしまうに違いない。
・ビルで暖やえさをとることが出来ず、ゴキブリやネズミはその姿を減らす。牛や羊なども他の野生動物の「えさ」になる。
・体が大きく体力と力のある動物が生き残る。例えばアフリカ像は現在の50万頭から1000万頭までに増えるかもしれない。
・人類が保存していた様々な「記録」(デジタル・アナログすべて)はそのほとんどが消え去ってしまう。
・プラスチックスは衝撃で形を崩しながらも何万年も存在し続けるだろう。


スフィンクスやピラミッドは100年程度の経過ではびくともしない。
スフィンクスやピラミッドは100年程度の経過ではびくともしない。
頑丈そうに見える釣り橋も、管理がなされなければあっという間に崩れ落ちる。
頑丈そうに見える釣り橋も、管理がなされなければあっという間に崩れ落ちる。
摩天楼もジャングルに。
摩天楼もジャングルに。

動画共有サイトには本編のものと思われる動画もあったがそれは色々と問題がある(公式サイトで閲覧が可能)ので、ここでは放送前に流れたらしい番組宣伝を紹介。公式サイトとは別のダイジェストで雰囲気をつかみとれる。

元記事ではDavid Brin氏の言葉を引用し、次のように皮肉る形でまとめている。

「これまであるゆる文明には黙示録、あるいはアーマゲドン(地球最後の日)的な物語が語られてきました。しかし我々は、その'物語'を自らの手で引き起こすことが可能な、一番最初の世代なのです」。


と。

また公式サイトでは【もし自分の周囲から誰もいなくなったら・サバイバル術】と称し、5つのポイントでそのような事態におちいった場合の対処術を伝えている。このあたり、ジョークが分かる外国人らしい作りなのだが、役に立つ日がくるとは思えないし、そのような状況に遭遇したくも無い(笑)。が、遭難時の自己防衛用ガイドとしても役立つと思われるので、興味がある人は目を通しておくと良いだろう。(似たような設定の映画が最近公開されたがオチがオチなのでここでは触れない)

公式サイトではいくつかの章立てでダイジェストの動画を閲覧することができる。英語での説明なのでセリフは分からないところが多いだろうが、ビジュアルだけでも十分堪能できるはずだ。

(最終更新:2013/08/09)

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