「禁煙化して良かった」タクシー運転手も禁煙化支持率高まる

2008年03月01日 12:00

たばこイメージジョンソン・エンド・ジョンソンは2月29日、東京都のタクシー全面禁煙化について施行前と施行後それぞれで都内のタクシー運転手を対象に行なったアンケートの結果を発表した。それによると施行前は「お客が敬遠する」との懸念から反対が多かった禁煙化について、施行後は「禁煙賛成派」が「禁煙反対派」を上回る結果が出たことが明らかになった(【発表リリース】)。

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今調査は東京都内のタクシー会社に勤める運転手を対象に、アンケート用紙配布による形式で実施。施行前・施行後で同じ営業所・会社に配布している。調査期間は施行前が2007年12月13日から17日、施行後が1月21日から25日。有効回答数は施行前が663人、施行後が1001人。施行後については1月7日に全面禁止が施行されてから約2週間が経過し、それなりに状況が落ち着いてきた時に行なわれた結果であることを踏まえてデータを見る必要がある。

タクシー内の全面禁煙への動きは全国に広まっているが、東京都の場合には【タクシーご利用の皆様へ(東京乗用旅客自動車協会)】にもあるように1月7日からほぼ全面禁煙が実施されている。「ほぼ」なのは、禁煙を実施しているのが東京乗用旅客自動車協会と東京都個人タクシー協会に属する車両であるため。逆にいえばこの協会以外のタクシー(約5%ともいわれている)は禁煙の施行についてはフリーハンドということになる。

施行前後で変わる「禁煙支持率」

施行前はさまざまな不安や運転手自身が喫煙者だった場合を考ると、反発の声が多かったことは容易に想像できる。では施行後から2週間が経過したあとはどのように変化しただろうか。

施行前後の「全面禁煙」への思い
施行前後の「全面禁煙」への思い

施行前は半数近くが「反対」としていたのに対し、施行2週間後では3割強にまで減っている。一方で「賛成」派は3割から4割近くまでに増加。「賛成派」と「反対派」の数が逆転しているのが分かる。

ただしそれと共に「どちらともいえない」の層が増加しているのも気になる。後述するが禁煙化によるメリット・デメリットを両天秤にかけている状態で、2週間では判断がつきかねるというところなのだろう。

反対派が多数を占めた
喫煙運転手の間にも
施行後は「禁煙賛成」が
増えている。

反対派の運転手には自身が喫煙者だから、という場合も多い。ヘビースモーカーであればなおさら反対の気持ちが強いだろう。しかし統計データによれば(掲載は略すが)施行前は強行に反対していた「喫煙本数が多い」人たちの階層でも、施行後における反対の意見が少なくなっている。メリットがデメリットを上回ったと判断しているのだろう。

メリットは「おそうじ簡単」、デメリットは……

タクシーへの全面禁煙の流れには、賛否両論があった。反対派の意見としてはお客サイドからは「たばこを吸う人はタクシーにも乗れないのか」という疎外感、タクシー運転手からは自身の喫煙をさえぎられること以上に「お客が遠のいてしまうかも」「トラブルが起きるかも」という懸念が多いという話だった。それでは施行前と施行後で、現場で働くタクシー運転手による「現実」とはいかなるものだったのだろうか。

全面禁煙化によるメリット
全面禁煙化によるメリット

施行後は「車内清掃が楽」という運転手側事情にる利点がもっとも高い伸びを示している。一方で「お客様の反応が良い」項目が激減しているが、これは禁煙が浸透したためとも受け取れる。

他方デメリットはメリット以上に興味深い結果が出ている。

全面禁煙化によるデメリット
全面禁煙化によるデメリット
タクシー運転手自身の
禁煙強要が
一番の問題点!?

この結果によれば、施行前に懸念されたデメリットは「お客様とのトラブル増」や「お客様自身が減る」というものだった。それがいざフタを開けてみると、トラブルへの心配はほとんどなくなり、「何だ、大丈夫じゃないか」とばかりに「特にない」が急増しているのが分かる。

ただし喫煙者がタクシーを敬遠する傾向は避けられず、多少「お客が減る」という懸念は増えている。しかしそれよりも大きな増加を示しているのが「自分もすえない」というもの。喫煙家のタクシー運転手にしてみれば、わずか2週間程度でも車内での禁煙状態が続くのは非常に辛く、その他の懸念点をも凌駕(りょうが)する問題としてのし上がってきたのだろう。


時々車道脇で止められたタクシーに寄りかかりながらたばこを吸う運転手の姿を見かけるようになった。これもタクシー内における禁煙令の施行が一因だろう(運転手自身は喫煙者だが、車内にたばこのにおいを残さないため)。一方でデータによればタクシー運転手の約3割が、車内禁煙施行をきっかけに自分自身の禁煙を心がけるようになったという。

愛煙家にしてみれば辛い話ではあるが、今後もさらにタクシー内禁煙の流れは全国に広まり、他の公共施設・機関にもその動きは浸透するものと思われる。自身の健康はもちろん、他人に及ぼす影響を考えれば、それも仕方のない話なのだろう。愛煙家にとっての冬の時代はまだまだ続きそうだ。

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