サブプライムローン評価損総計で2850億ドルにかさ上げ、但し終息の兆しあり

2008年03月14日 06:30

株式イメージ【AFP】【Forbes】が伝えるところによると格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)が3月13日に発表したレポートの中で、アメリカの住宅ローン「サブプライムローン」に関連した金融機関の評価損見通し(上限)をこれまでの2650億ドルから2850億ドル(約28兆5000億円)に引き上げたことが明らかになった。同時に評価損の大きな部分はすでに計上済みで、S&Pの見解では「明るいニュース」と表現している。このレポートに反応する形でヨーロッパ市場・アメリカ市場共に値を戻す傾向が見受けられる。

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同社レポートの原文はまだウェブ上に掲載されていない(あるいは有料レポートの可能性もある)が、上記参照記事によるとS&PのアナリストScott Bugie氏の言として

・サブプライムローン関連による金融機関の上限(可能性)評価損は2650億ドルから2850億ドル(28兆5000億円)に引き上げ
・引き上げ理由はCDO(債務担保証券)やRMBS(住宅担保抵当権付有価証券)などの損失見通しを厳密化したため
・大手の金融機関において評価損の大部分はすでに計上済みのように見える
・しかし現状において市場はさらに下方修正をするよう評価額への圧力をかけている。この圧力が、ここ数週間か数か月の間は市場の下落をもたらす可能性がある
・サブプライムローン問題自身へのリスクは軽減され、状況は回復に向かいつつある。しかし広範囲なレベルでの不動産市場や金融の他のセクターにおける問題の悪化で、全体として経済や金融市場に与える影響は相殺されている
・シティやメリルなどの大手金融機関は将来、市場価格の回復で大きな恩恵を受けるだろう


今回報じられたS&Pのレポートは、多くのアナリストや市場関係者に少なからぬインパクトを与えている。Forbesの記事では「金融市場の危機はまだ脱したわけではないが、我々はトンネルの先にある光という希望を見つけることができた('It really is raising hopes that there is a light at the end of the tunnel,' a Frankfurt-based trader said. He noted that financials are not out of the woods.)」というドイツの証券関係者の言を用い、その状況を説明している。

記事執筆時の当日のニューヨーク・ダウ平均株価動向イメージ【カーライルキャピタルの債権者との協議が失敗に終わり、資産差し押さえの見通し・デフォルトとなれば総額は166億ドルのニュース(ロイター)】などネガティブなニュースも入ってはいるが、それでも「私たちは現実を直視しなければならない。しかし今回のレポートは、自分たちが恐れている損失が過大な想定なのかもしれないことを示している」とも伝えている。

今回のレポートはあくまでも格付け機関の調査に過ぎず、金融市場の全体的な問題を包括的に、100%正しく把握したものではない。とはいえ、長年の歴史と経験を持ち、厳格な評価を下し続けてきたS&Pのレポートには違いない。その内容にはそれなりに信頼と期待を寄せるだけのものはある。市場の反応がそれを如実に表しているといえよう。

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