【更新】セガサミー、事業集中化のため「みなとみらい21」の大型娯楽施設の開発中止

2008年03月29日 12:00

ゲームイメージ[セガサミーホールディングス(6460)]とその子会社のセガは3月28日、神奈川県横浜市の「みなとみらい21」の中央地区に建造を予定していたエンタテインメント複合施設の開発を中止すると発表した。理由については「経営環境が急激に変化する中、業績をいち早く立て直すために中止し、コア事業に注力する」と説明している(【発表リリース、PDF】)。

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セガサミーなどでは今施設の計画を2006年2月には公表(【発表リリース、PDF】)。「セガの技術・開発力を基にした新たなエンタテインメントの創出を目指し、屋内型エンタテインメント施設、オフィス、ホテル、商業施設など」の展開を予定していた。最終的には「みなとみらい21」中央地区内の4区画・41000平方メートルの土地を取得し、今年の秋には着工、2011年の春のオープンを目指していた。これに伴いすでに去年2月には4区画のうち3区価格・2万8000平方メートルの敷地を226億円で取得。今年の3月には残り1区画を買い取る予定だった。

土地の一部は取得済み
→業績悪化でコア事業への特化
・大型娯楽施設の計画は断念
→既存の土地は買い戻しを求める

しかし【セガサミーHD、業績予想下方修正・赤字転落】などでも報じているように主力事業の一つパチンコ・パチスロに対する法令強化や家庭用ゲーム機部門などでのヒット作の不発などで業績は急速に悪化。現状を勘案すれば「みなとみらい21」に大型娯楽施設を新設しても収益的には厳しい状態になることが予想されるため、既存のコア事業に注力を図り業績の建て直しを優先。プロジェクトそのものを中止し、残り1区画の土地の買い取りも見送られることになった。

なおすでにセガサミー側が取得している土地28000平方メートル分についてだが、[日経新聞]によれば販売元の横浜市都市開発公社が買い戻す権利を持っている。セガサミー側では「今後の誠実な対応をお約束する」とコメントしており、今後公社側と交渉を進めていくもよう。仮に公社側が土地を買い戻した場合には、セガサミー側は45億円の違約金を支払うことになる。

一部には「買い取った土地を使って住宅建設など別の事業にセガサミーが参入するのか?」という話もあったが、そもそも土地が空いたのは本業へ集中を行なうべく大型娯楽施設の開発を中止したため。別の利用目的に使うなど本末転倒になってしまうし、第一公社との契約違反にもなりかねない。かといってそのまま放置していても維持費がかかるばかりなので、セガサミーとしては違約金を支払い会社の資産を減らしてでも、公社への買取を目指すしか手がないだろう。

2月の下方修正発表時
すでに関連事業の整理やリストラ
→この時点で開発断念を意識!?

セガサミーでは下方修正の発表にあわせ、アミューズメント施設事業の事業再整理と子会社セガの大規模なリストラを展開している。大型娯楽施設の運営には欠かせない部門のリストラが行なわれていることから、本来この時点ですでに「みなとみらい21」への事業を取りやめることを考えていたと受け止めることもできる。

コア事業への注力と強化を目指し、切るべきところは次々に切り捨て、根幹部分の強化を図るセガサミー。同社の戦略が正しい選択肢の元に行なわれたのかどうか、業績の上から見極められるようになるには、少なくとも数年の月日が必要となることだろう。


(最終更新:2013/08/09)

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